しあわせみんな 三号店

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ハンセンの爆弾発言―――闇夜の提灯(ちょうちん)

ハンセンの爆弾発言―――闇夜の提灯(ちょうちん) 一九八八年の六月二三日、アメリ連邦議会上院の公聴会NASAの研究者ジェームズ・ハンセンが、「人間活動の出す CO2が地球を暖めているのは九九%確実。このままいけば近い将来、地球は破局を迎えてしまう」という趣旨の証言をしました。 おもな根拠は、同年に自身が論文発表していた気候シミュレーションの結果です。一九七〇年あたりのゼロ点からぐんぐん上がり、五〇年後の二〇二〇年には、世界の気温上昇が一・五℃を超す勢いのグラフでした(『神話』4章)。★ https://r.qrqrq.com/6elmL4PD



以後の(むろん当時は見通せていなかった)実測値は、水増しの大本営発表(ウソ1)でさえ〇・八℃、信頼度の高いデータは〇・三~〇・五℃だから(ウソ1)、とんでもない「根拠」だったといえます。けれど「今後五〇年で一・五℃」のパンチは強く、それが世界を迷走させることになりました。 裏話や疑問も含め、周辺のことを少し紹介しておきましょう。議会証言の折りは、上院議員に「同志」がいました。ワースという名の議員はまず過去の気象統計をあたり、猛暑が期待できそうな日を証言日に設定します。しかもその前夜に会議室の窓すべてを開け放ち、当日のエアコンがすぐ効かないようにしました。万事が首尾よく運び、当日は一〇台以上のテレビカメラも入って熱気むんむんの中、額の汗をぬぐいつつ語るハンセン博士の「警告」が、記者たちの心をがっちりとつかんだようです(『不都合』2章)。 やがてハンセンを「地球温暖化問題の父」と崇める空気も生まれたのですが、どうやら象牙の塔がお嫌いな人だったらしく、「温暖化の危機」を訴えるデモを何度もやって、少なくとも三回、警察に逮捕されています。路上で手錠を打たれる彼の写真がネットにあふれるとか、国家公務員なのに解雇されなかったとかの事実は、アメリカ社会のおおらかさを物語るのでしょう。ともあれそんな人物に二〇二〇年、日本の旭硝子財団ブループラネット賞(副賞五〇〇万円)を贈呈しました。 気候変動・脱炭素」14のウソ』渡辺正著(丸善出版株式会社)