しあわせみんな 三号店

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風土と慣習から生まれた、伝統的な木造家屋

風土と慣習から生まれた、伝統的な木造家屋 日本とヨーロッパの地理的条件、風土や習慣などの違いに 目を向けて考えてみましょう。 ヨーロッパはユーラシア大陸の西の端に存在します。比較的高緯度に位置し、気候的には多くの地域が亜寒帯から寒帯です。湿度に ついても比較的乾燥している地域が多いのです。 島国のイギリスはメキシコ湾流に接しているために湿度は高いのですが、ヨーロッパの内陸は静電気が発生しやすい乾燥地帯です。そうした環境ですから、ヨーロ ッパ地域では多くの廃棄物は土に 埋められます。 ヨーロッパの住まいは石やレンガ造りが主流です。頑丈な資材ですから丈夫で長持ちをします。イギリスの家屋の平均耐久年数は130年と言われています。第二次世界大戦で爆撃を受けて壊滅状態となりましたが、ドイツの家屋の平均耐久年数は90年ほどです。 石やレンガでつくられているとはいえ、気候が乾燥しているので、家の中で結露は起こりません。 乾燥しているということは、衛生的にも問題は少ないということです。埋葬も日本とは違い、ヨーロッパでは遺体をそのまま土葬します。

一方、日本の気候は高温多湿です。食品などを放置するとカビが生えたり、徽菌が発生したり、ダニがわいたりします。 人が亡くなれば、速やかに火葬して荼毘に付します。これは仏教的な風習であるというだけではなく、高温多湿な環境における衛生面への配慮から広がったものです。日本の伝統的な家屋は木造で、夏場の暑さをしのぎやすいように風通し良く設計さ れます。土や紙などの自然素材を多く使って、湿気がたまらないように 配慮されています。 平均対応年数も26年と言われています。これはほぽ 一世代にあたります。日本家屋においては代替わりをするたびに建て替えるということもたびたび行われます。建築材も自然素材のものが多いので燃やすことが可能です。 日本では、廃棄物については、そのおよそ8割が焼却処理されます。焼却処理は衛生面でも効果的です。 さらに、焼却処理すると体積が20分の1になります。国土の狭い日本では焼却処理することで廃棄場所に困らないようにしている、というわけです。 ヨーロッパ諸国では多くの廃棄物を埋設して処理していますから、埋め立て用地もすぐに手狭になってしまいます。 埋められた廃棄物はなかなか腐食しませんから溢れ出てしまうこともあり、埋め立て地の周囲の環境を汚染する場合もあります。 『かけがえのない国――誇り高き日本文明』 武田邦彦 ((株)MND令和5年発行)より R060216 180