「ウイルス干渉」でインフルエンザが激減 私がマスクの着用率と感染率の関係について調査したことで、思わぬ副産物もありました。 新型コロナが出てくる前の2019年12月頃には、「インフルエンザが2020年にかなり流行する」という話もありました。ところが、1月に入ってからインフルエンザの流行がパタっと止まったのです。 2020年の1月には、まだほとんどの人がマスクを着用していませんでした。多くの人たちがマスクを着けはじめたのは 3月になってからです。 こうしたデータをきちんと見ていない人は「みんながマスクを着用したから年はインフルエンザの感染も減ったのではないか」「だからマスクは新型コロナの感染予防にも効果が見込める」などと変な解説をしていました。これはデータに基づいた解説ではなく、単に自分の感想(思い込み)を言っているだけでしかありません。
👆全国に約5000か所ある定点医療機関に報告される、インフルエンザ感染者の数の推移。20-21年は、赤の直線となっており、その数は0.01人。 私の調査結果からわかったことは、インフルエンザが流行しなかった原因は「ウイルス干渉」にあったということです。つまり、2020年1月頃にはすでに日本で新型コロナウイルスが蔓延しつつあり、それによりインフルエンザウイルスがウイルス干渉によって抑えられたというわけです。きちんとデータを見ればそのような結論になるはずです。 しかしテレビに出てくる専門家なる人々は、新型コロナについてもマスクについても無茶苦茶なことを言い続けました。そこにNHKなどが加担して、コンピュータを使ったいい加減な計算をしました。 このように専門家と呼ばれる人たちや、ほとんど科学の勉強もしていないテレビの解説者によってつくられたのが“マスク万能説”だったのです。 風邪やインフルエンザで日本人の3分の1が苦しんでいた時には「マスクは関係ない」と主張していた医師や科学者が、「とにかくみんながそう言うから」というテレビ報道によってつくられた同調圧力に負け、自分の科学的立場を捨てたのです。 なぜ2020年の2月まで「風邪のウイルスにはマスクは関係ない」と言っていた医師や科学者が、その2カ月後に突然「マスクは必要だ」と言うようになったり、マスクをしていない人が“マスク警察”に罰せられるようになったのか……。 このマスクの問題は専門家たちがダメになった非常にわかりやすい例ですから、皆さんにもよく考えてもらいたいと思います。 このようなことは、1990年代の「ダイオキシン騒動」の時も同じでした。 人間に対して「史上最大の毒物」とテレビ等で言われたダイオキシンでしたが、そのような確固たるデータはありませんでした。それでもテレビなどでは「ダイオキシン」=「悪」という図式で煽り続けたのです。 その後、1999年から2001年にかけてたくさんのデータが出て、ダイオキシンは問題になるような毒物ではないということが科学的に証明されましたが、それでも社会の意識はすぐには変わりませんでした。 それを当時、東大の医学部教授で毒物学がご専門の和田攻(おさむ)先生は「科学が社会に負けた」と学士会報にお書きになったのですが、それと同じテレビ主導の科学的間違いを科学者が追認することが今回も起きたのです。
👆不勉強なのか、日本國民に間違った情報を垂れ流して、混乱させようとしているのか、マスコミの不見識で、嘘情報がダイオキシンを更に悪者に仕立て上げ、現在でもダイオキシンが悪であるという風評を固定化させた。 ダイオキシンファクトシート 『「新型コロナ」「EV脱炭素」「SDGs」の大ウソ』武田邦彦著 ビジネス社刊 20240309 P48