しあわせみんな 三号店

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日本に西洋文明を持ち込んで幸福になるとは思えない。チェンバレン

日本に西洋文明を持ち込んで幸福になるとは思えない。チェンバレン イギリス料理と言われて思い浮かぶのは、フィッシュ・アンド・チップスと呼ばれる、魚類のフライとフライドポテトの盛り合わせくらいです。豪華で格別に美味しい料理を思い浮かべることはあまりありません。 イギリス人は元来、(アメリカ人も同様ですが)食に関しては大雑把なところがありました。 産業革命で人々の生活には余裕が生まれるはずでした。イギリスの労働者がやっと日常生活に喜びを見出そうという時に、産業構造上、労働者への搾取が厳しくなり、日々を仕事に追われ、ついに食生活に喜びを見出す機会を失ってしまったのだという説もあります。 現代日本の生活が、忙しく辛く、疲れることが日常的で楽しいことが例外的になってしまっているとすれば、それは西洋の社会システムに無反省に倣いすぎているためかもしれません。 世紀のイギリスの哲学者フランシス・ベーコンは、「自然科学は自然を明らかにすることによって人類の福祉に貢献する」と言いました。産業革命はその実現を目指したものです。 蒸気機関の発明と鉄の生産力の向上は、ヨーロッパの人々の生活問題を飛躍的に改善したかのように見えます。確かに、国民統計などの数字の上では乳幼児の死亡率、平均寿命、文盲率、エンゲル係数などは向上しました。しかしそれは、見かけの数字だけの改善であり、数字だけの生活水準の向上ということでした。 幕末から明治初期に日本に訪れた西洋人の中には、アメリカの初代駐日公使のタウンゼント・ハリスやイギリスの日本学者バジル・ホール・チェンバレンのように、「日本に西洋文明を持ち込んで幸福になるとは思えない。すでに日本人は幸福である」と考える人も多くいました。 特にハリスは、「これがおそらく人民の本当の幸福の姿と言うものだろう。私は時として、日本を開国して外国の影響を受けさせることが、果たしてこの人々の普遍的な幸福を増進する所為であるかどうか、疑わしくなる。私は質素と正直の黄金時代を、いずれの他の国におけるよりも多く日本において見出す。生命と財産の安全、全般の人々の質素と満足とは、現在の日本の顕著な姿であるように思われる」とはっきりと言っています。 『かけがえのない国――誇り高き日本文明』 武田邦彦 ((株)MND令和5年発行)より R060118 88