がんは「食源病」である 私はまず、現代人が病気になるのは「食が信仰であることを忘れたから」だと考えています。日本では食事のマナーとして最初に「いただきます」、最後に「ごちそうさま」と言います。動物を殺すということだけでなく、植物にも命がある。それらをいただくから「いただきます」。「ごちそうさま」はその字の通り、走り回ったということです。魚を釣る、家畜を飼って殺す、買って来る人もいれば料理する人もいて、みんなそれを作るために走り回っています。そうやって感謝しながら食べていたわけです。また仏壇のご先祖様や神棚の神様にご飯をお供えする。「先に食べたい」とか「おなかいっぱい食べたい」とかではなくて、ご先祖様や神様にあげる分だけ余計に作るわけですよね。 こうして信仰心によって食欲を制御していたのです。それをマッカーサーは、新嘗祭(にいなめさい)を勤労感謝の日にすり替えてしまった。11月23日に国民が皇居に集まっているのを見て「こんなことをしていたら日本がまた強い国になってしまう」と考えて、禁止したのです。 そして「快楽報酬系」という脳の回路を理解していないことも原因のひとつです。「快楽報酬系」はかつて、宗教が制御していました。簡単に言うと、「たくさん食べたい」「セックスしたい」「地位や名脊が欲しい」といった欲望に、宗教の規律が歯止めをかけていたのです。私がなぜそう考えているかというと、発展途上国の人たちが先進国に近づいてきてこれらをやり出すと、日本と同じようにがんが増えてくるからです。 コンビニやファストフードの台頭も原因になっています。パンやドーナツ、フライドポテトなどを見て、感謝の気持ちが湧きますか? 「漁師さんは素晴らしいな」とか「お百姓さんはありがたいな」などと思いますか? おなかがすいたらいつでも好きなものを好きなだけ食べる。そうすることで「食」が「信仰」から「欲」に堕落してしまったわけです。そして時間がないからハンバーガーを歩きながら食べて出勤したりする。これでは「ごちそうさま」は言えません。こうしたことから病気が増えるのです。 医学統計的にも、がんが食源病であるという根拠を示すデータはもちろんたくさんあります。特に有名なのが「マクガバン報告」です。これは史上最大規模の栄蓑調査研究で、 1970年代に中国で急激にがんが増えた元凶をはっきりと暴き出しました。例えば喉頭がんは南の方に多い、胃がんは北の方に多いというようなことがわかりました。この違いが何なのか、同じ遺伝子を持つ漢民族だけを調べたところ、魚、肉、コウモリなどよく食べている食材の内容によって罹患するがんの種類が違いました。そこで治療法を解明するため、さらに1973年から、1975年ににかけて8億8000万人という膨大な対象について12種類のがんの死亡率などを調べたのです。 この結果だけを見ても、がんが食源病であることが分かります。 快感を感じる物質(甘み、グルテン、牛乳、不飽和脂肪酸、覚醒剤などの薬物)、行為(ギャンブル)などの刺激で腹側被蓋野に集まるA10神経系が活性化し、快感をもたらすドーパミンを分泌。ドーパミンは側坐核を刺激して高揚感を促し、前頭前野で「またこの快感がほしい」という情動を強める マクバガンレポート マクバガンレポート要旨:心臓病をはじめとする諸々の慢性病が肉食中心の誤った食生活がもたらしたこと。これらは、薬では治らないと結論。 『Renaisance Vol.13』ダイレクト出版 「食と病気と日本人 癌が増えた理由とは」 吉野敏明氏より R050614