しあわせみんな 三号店

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3章 地球温暖化で頻発する故意の誤報 ●地球温暖化騒ぎの元になったそもそもの仮想記事とは

第3章 地球温暖化で頻発する故意の誤報地球温暖化騒ぎの元になったそもそもの仮想記事とは 最近でこそどこかしらの新聞・雑誌やテレビのニュースで取り上げられない日はない程の地球温暖化問題だが、この話題はいつ頃から報道され始めたのだろうか。 遡ること今から約23年前の1984年の元旦、多くの人が新聞をゆっくり見る日に朝日新聞に次のような見出しの記事が出された。 「海面上昇で山間へ遷都計画」 「6兆円かけて20年がかり」 「脱出進み23区人口半減」 その記事には、「首都に迫る海。警戒水位まであと1メートルに」というコメントがついた「架空」の航空写真が大きく掲載され、今にも東京が沈没するような印象を与えていた。 「世界の平均気温は50年前の15度から18度に上がり、この結果として極地の氷の融解が加速度的に進むことによって海岸都市の一部が水没する」 実はこの記事は「50年後の2034年1月1日の新聞にこのような記事が載るだろう」という但し書きが載っているが、実際には元旦からびっくり仰天させるのが目的のシミュレーション記事だった。 気温が上がると極地の氷、つまり北極や南極の氷が溶けて海水面が上がり、東京が水浸しになって山間部へ首都を遷さなければならなくなったという話になっている。写真は衝撃的な光景を伝え、遷都には6兆円、時間は20年かかるというのである。見出しには仮想の物語であることの記載はどこにもない。だから、この記事を見た人は一時的にであれ地球温暖化で海水面が上がってきて、今にも東京が水浸しになると錯覚したに違いない。 これが、その後の「地球温暖化騒ぎ」の元になった記事だった。 この記事では50年間に3度気温が上がるということになっているが、記事が掲載された1984年までの50年間に地球の気温が何度上がったかというと僅かに0.2度だった。いくら予測だといっても次の50年間に上昇する気温を15倍にするのはどうか。 間違いはそれだけではない。20世紀に入って地球の気温が少しずつ上昇しているのは確かだが、上がり方はそれほど一様ではない。20世紀の前半は気温が上昇しているが、ほとんど二酸化炭素は増えていなかった。 図表3-2をよく見ると、1940年までは気温が上昇しているが、1940年からの30年間は気温が低下して「冷夏」が続き、作物の不作が問題になっていた。その頃も二酸化炭素は同じペースで増えている。 記事の出た頃は気温の上昇が人間の排出する温暖化ガスによるものだとする説と、このグラフの灰色の線で示したように太陽の活動が盛んになって、太陽風が強くなりその分だけエネルギーが地上に達しているのではないかという両説があった。しかし、記事にはそのような表現はまったく見られない。 マスコミには守らなければならない大原則がある。もちろんその一つは「事実を報道すること」だが、もう一つは「異なる見解がある時には片方だけを報道してはいけない」ということだ。 残念ながら日本のマスコミと言われるところで、本当にこの大原則を守っているところは少ない。 アメリカが京都議定書批准しなかったり、発展途上国地球温暖化に非協力的だっこりすることに対し、日本では「理解ができない」という声が多いが、もし双方からのバランスの取れた報道がなされていれば、そうした国の考えもよく理解できただろう。 『環境問題はなぜウソがまかり通るのか武田邦彦 洋泉社刊 2007年 20230818  117