しあわせみんな 三号店

日本人は太古の昔から「しあわせみんな」という素晴らしい知恵をもって生きてきました

ものに執着しない文化をもっていた日本と、物を拡大生産するという欧米の文化

ものに執着しない文化をもっていた日本と、物を拡大生産するという欧米の文化 最後に、もともとものに執着しない文化をもっていた日本と、物を拡大生産するという欧米の文化について触れたいと思います。 日本は世界でも特に歴史的に深く素晴らしい伝統を持った国でした。それは、奈良の大仏殿は世界で一番大きな木造建築だ、などと大きいこと、力の強いことを持ち出さなくてもよいと思います。日本は世界でも希な「平等思考」の国でしたし、「学を重んじ、お金を軽んじる」民族だったのです。本稿ではその詳しいことは書きませんが、日本は誇りに思うことがあっても、決して卑下するような国ではありません。 それなのに、現在の日本ではすぐ「アメリカが……」、「ドイツのリサイクルは……」とまるで「この印籠が見えないか! 欧米は優れた国なのだ!」というように考える人がいて、そのような人が何らかのお金を得て、ヨーロッパに「環境視察」に行きます。そして「ヨーロッパはあんなに環境に配慮している。だから日本も……」と言います。 たしかに、欧米は「ものの時代」の支配者でした。特に一八世紀に発明された蒸気機関は巨大な力を人類に与え、それが鉄の生産技術の進展と協奏して、強い文明を生みました。この素晴らしい文明を生んだヨーロッパとそれを拡大したアメリカが自国の文化を育み、幸福を増大させたのなら結構でしたが、巨大な力と鉄鋼の技術はやがて、他国民を征服し圧制のもとにおくということにもっぱら使われるようになりました。砲艦外交といわれ、軍事力という名の暴力で他国民を苦しめたのです。 現在ではすでに露骨に武器をもって他国を占領することはできないようになりましたが、それでも、欧米はアジアやアフリカに対する当時の利権を時々主張します。そんな欧米を尊敬することはできません。 「ものの時代」には圧倒的な物量、科学を中心とした学問など欧米にも見るべきものはありました。しかし、現在の環境問題にしても、汚い住環境にしても、欧米の大量生産技術と自分勝手な論理によるものです。特に、生産量を無制限に高め、資源の枯渇を警告し、さらに自ら世界でもっとも多く資源を使っている欧米と日本はそろそろ決別する決意を持つことが求められます。 『日本社会を不幸にするエコロジー幻想』 武田邦彦著 (青春出版社 平成13(2001)年刊) 202311203 201