しあわせみんな 三号店

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原則その② テレビに出ている「専門家」を信用しない

原則その② テレビに出ている「専門家」を信用しない 「理系の分野はよくわからない」という、文系の方が多くいるようです。 だからといって、大人になってから物理や化学をイチから勉強し直すというのは大変ですね。すると、専門家の言うことを信用するしかないのですが、そのときに「信用できる人は誰か」ということを、感情的にではなく、論理的に知っておく必要があります。 さきほど「未来を予測する人は信頼できない」と記しました。ですから「来年はこうなる」とか「地震が予知できる」というようなことを平気で言う人の話は聞かないほうがいいでしょう。 このことを発展させてみると、 テレビに出ている専門家を信用しない」ということになります。これが第2の原則です。 かくいう私自身も20年ぐらい前からテレビ出演の機会がたくさんありました。最初は「環境」に 関するニュース解説で、テレビ 朝日やTBS、NHKにも昔は出ていました。 この何年かは『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ系)のようなバラエティ番組にも出ていました。しかし、最近は地上波テレビ ではなく、インターネットの番組が多くなりました。それはなぜかというと、地上波テレビが大きく変質してしまったからです。 地上波テレビのゴールデンタイム(午後7時から10時ごろまで)の時間帯は、大阪の吉本興業や東京のジャニーズ事務所といった人気タレントを多数抱える芸能事務所が力を持つようになりました。10年ほど前に、テレビ局が出演者を決めることもできないぐらいの勢力になってしまいました。 吉本やジャニーズのタレントを番組に出さないと、他の機会にその事務所のタレントが必要になったときにも出してくれない。「おまえのところは、このまえの番組に出さなかったから、今回は出さないよ」と言われてしまうわけです。 日本の社会全体で言えばずいぶんと労働環境も雇用関係も近代化したのですが、芸能事務所というのは相変わらずの“お抱え主義”で、古い芸者さんの社会のような非常に強い縛りがあって、人間としての人格もあまり尊重しないというところがあります。そのためにそういった旧態依然とした体制が、地上波テレビという近代的な制度の中にまで入り込んでしまいました。 芸能人・芸人という人たちはもともと「芸」を売り物にする人たちであって、その他の部分についてはまったくのウソというわけではありませんが、少なくともニュースなどに関しては正確なことを言うことを仕事にしているわけではありません。 したがって、テレビ局 が「こう言ってほしい」と頼めばそれに従う、もしくは制作サイドがそのようなことを言わなくとも勘の鋭い一流の芸能人というのはテレビ局が 言ってほしいことを撮影スタジオの中で察することができます。 そうして真実とはまったく関係のないことを言う人ばかりが残っていきます。 芸能人・芸人の方々はそれでもいいのかもしれません。しかし、近ごろでは「大学教授 」と言われる人たちまでもがそうなってしまっています。 実はそういう人たちの多くが、いわゆる純粋な大学の先生ではありません。役人から大学教授になった人やジャーナリストから大学教授になった人たちが“大学教授”という肩書で紹介されているのです。 ひと昔前は、純粋な学者である理系の大学教授なども随分とテ レビに出ていましたが、最近はそういう人をとんと見かけなくなりました。 まあ理系の大学教授といっても、近ごろは研究費を確保するためにいい加減な申請 書を書く人がいるような時代ですから、必ずしも彼らが本当のことを言うとは限らいのですが……。それでもやはり役人やジャーナリストなどから転身した教授といった人たちよりはまだ、信頼度が高いように思います。 私がテ レビで見る限りにおいては、芸能人・芸人たちでは(そもそも真実を言う必要がないのですが)科学的に間違った発言が80~90% といったところでしょう。評論家といわれる人たちも学術的な誠実性を求められてはいませんから、これも発言のうち 60~70% は間違っています。そして役人やジャーナリストから大学教授になった人は、半分くらいは間違いったことを言 っているように感じられます。 つまり、現在の地上波テ レビの解説というものは、もう基本的に科学的に間違 っている状況にあるのです。真実よりも、制作サイドの意向に沿うことが第一であるからです。 『フェイクニュースを見破る 武器としての理系思考』武田邦彦 (ビジネス社刊) R060516 P024