しあわせみんな 三号店

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ガンジーの文明論

ガンジーの文明論 ガンジーは文明を語る中で、次のように言っています。 「ローマは滅びました。ギリシャも同じ運命をたどりました。ファラオの権勢も終わりを迎えました。日本も西洋のようになりました。ヨーロッパの人々はギリシャやローマの人々が書いた本から教訓を学んでいますが、ギリシャやローマはもはやかつての栄光に包まれてはいません。そのようなところから学ぽうとすることで、ヨーロッパの人々はギリシャやローマの誤りを避けることができると思っているのです。本当に哀れと言うほかはありません。」 (マハトマ・ガンジー著、田畑健らの訳「ガンジー自立の思想」から) 競争社会はやがて漬れる、それは判っているのだ、それなのに、その「滅びる文明を学ぶ」というのはバカげていると言うのです。 ガンジーはさすがに明確です。 滅びないように生きなければならないでしょう。ガンジーは滅びないためには競争ではなく、共存だと主張します。 そして、その例はすでに世界のあちこちにあって、別に特別のものではない。例えば、弁護士や医者は昔から「偉い人」とみんなが思っていたのは同じだが、昔はだからといってその人たちがむやみにお金を取ることはなかった、普通の人と同じ生活をしていた、と言っています。しかし、西洋文明が入ってから突然、弁護士や医者がお金を取りはじめたと彼は続けるのです。 日本は日本の文明を守り、それを永続させなければならないと考えられます。そして、それは可能であるというのが著者の考えです。再びガンジー。 「人は、日常の欲求をますます増やしていこうと思ったとたん、『暮らしは低く思いは高く』という理想を求めることをやめてしまいます。このような例は歴史を振り返ればたくさんあります。人の幸福は、実際には満足することにあります。満足していない人は、たとえどれほど多くの物を所有していても、自分自身の欲望の慮になっています。欲望の慮に 匹敵するほどの奴隷状態は他にありません。自分自身が最良の友となることもありますが、同時に最大の敵になることもあると賢者は言います。自由でいるか、奴隷に成り下がるかを決めるのは自分自身です。」 「そうすれば、我々は欲望を最小限に抑えるようになり、食事も質素な物となるでしょう。その時、我々は食べるために生きるのではなく、生きるために食べるようになります。健康も増進し、これまで摂取してきた多くの物は余分であったことに気づきます。」 日本という国は様々な点で特別な国です。それは国土面積が世界の〇・二八パーセント、人口が二・一パーセントで人口密度が高いというばかりではありません。工業生産高は一三・四パーセントで世界の中心的役割を果たしていますし、土木建築の活動は世界一と言われています。 また、北半球では温帯地方にある島国で日本のように大きな国はありません。大陸と近いとはいえ対馬列島を間にして韓国との間にかなりの距離があり、歴史的にもほとんど独立していました。僅かに、百済の頃、蒙古襲来、豊臣秀吉の朝鮮戦役、そして第二次世界大戦の前の数十年に侵略がありました。 長い歴史のなかではこの程度の交渉はそれほど日本の文化に決定的な影響を与えることはなく、 日本は世界でも希な文化を築いてきたのです。そして、第二次世界大戦で日本は大きな痛手を受けましたが、その後の戦後復興に成功し、現在の繁栄につながっています。 『日本社会を不幸にするエコロジー幻想』 武田邦彦著 (青春出版社 平成13(2001)年刊) 202311204  203