しあわせみんな 三号店

日本人は太古の昔から「しあわせみんな」という素晴らしい知恵をもって生きてきました

●大新聞が変えたリサイクルへの流れ

●大新聞が変えたリサイクルへの流れ 容器包装(ガラス製容器、ペットボトル等)の製造事業者などへのリサイクル義務付けを取り決めた「容器包装リサイクル法」が制定された平成7年(1995年)の翌年、東京と首都圏の自治体の代表者がペットボトルを販売している「全国清涼飲料工業会」に文旬を言いに行った。 この「全国清涼飲料工業会」は国内の飲料メーカーが600社も集まっている団体だが、そこの専務理事は「そんなことを言ったって、私たちは消費者が買うから売るだけだ。会員に売るのを止めろと言うわけにもいかないし、国際的な関係もある」と突っぱねた。 相前後して、飲料メーカーに強力な助っ人が現れていた。ペットボトルのメーカーにとってはさしずめ救世主といったところだろう。それは朝日新聞だった。1994年10月24日の社説は「ゴミの世界が大きく変わる」というタイトルでこう言っている。 「(ペットボトルのリサイクルは、)私たちの暮らしから自治体のゴミ収集、企業の生産まで、幅広く影響が及ぶ。しかし、深刻なゴミ問題を乗り切るため、みんなが新たな役割を担う時代になった、と考えよう。包装・容器類は、家庭から出るゴミのうち、容積で約6割、重さで約3割を占め、その割合は高まる一方だ。使い捨てが増ぇ、こうした資源ゴミのリサイクル率は、まだ約3%に過ぎない。資源を有効に利用し、ゴミを減らすために、厚生省の新方針は支持できる」つまり日本社会がペットボトルを扱いかねていた時、「リサイクルすれば良いじゃないか」という「解決策」の音頭を朝日新聞の社説がとったのである。いつも、マスコミはこのようなタイミングで登場する。しかし、厚生省がどういう狙いでリサイクル政策を打ち出してきたか、この記事を書いた人はおそらくわかっていただろうが、そこにはあえて触れなかったのだ。この記事を読んで庶民は賛同し、国のお金を狙っている人たちはほくそえんだ。 こうして、日本社会の流れは決定的になり、そこから「リサイクル社会」ヘ一直線に突入する。果たしてこの社説が言うように、リサイクルは「資源を有効に使用し、ごみを減らすため」に役立ったのだろうか。 『環境問題はなぜウソがまかり通るのか武田邦彦 洋泉社刊 2007年 20230705