しあわせみんな 三号店

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恥ずかしいバイオ燃料

恥ずかしいバイオ燃料 悪名高い「有料化」以前、店でもらったレジ袋に、こんな文章が印刷してありました。 CO2の削減、石油資源の節約のため「植物由来の原料」を使用したレジ袋です。 よくもこんなことが書けるなぁ……と、見るたびに気が滅入ります。どうみても石油資源の枯渇を早める製品なので(後述)。 願されるNHK NHKバイオ燃料がお好みらしく、朝のニュース番組でしじゅうとり上げます。JALANA、ユナイテッドなど大手や、特殊分野のアジア航測が、バイオ燃料を混ぜたジェット燃料で「脱炭素に貢献する」というような話です。 微生物の植物プランクトンを育て、油を抽出するやりかたが有名ですね。まず、真のカーボンニュートラル状況を、こんなふうに想像してください(おとぎ話の世界)。 天然に棲む微生物が、人の手をいっさい借りず、水から飛び出て地面を整地し、工場を建て、電線を引き、培養に必要な設備類のすべてを用意する。施設が完成したら、やはり人の手をいっさい借りず、光照射や水温・養分などの条件を整えた培養タンクに飛び込んだあと、光合成をして育つ。十分に育ったらタンクを出て、自分の体を切り刻み、適当な溶剤にまみれるなどして油分(バイオ燃料)を抽出・精製する。精製された油入りの容器が、ひとりでに飛行場へ移動し、航空機のエンジンに入って燃える……。 そのとき、大気中から吸収した分と同量のCO2が大気に戻るため、カーボンニュートラルの一丁上がりというわけです。でも現実には、以上の全部を人間が行い、途中で大量のCO2を排出するに決まっています。その排出分と、微生物が吸収していたCO2の量(=ジェットエンジン内で燃えたときのCO2発生量 )がトントンなら、バイオ燃料の値段はさほど高くもないでしょうけれど、それならそもそもバイオ燃料を使う意味はありませんね。ちなみにバイオ燃料の類は、格好よくSAF(持続可能航空燃料 )とか呼ぶそうです。 SAFの値段はどれくらい? 手を変え品を変えNHKが一〇回くらい流した番組では、「数倍」とか「三~四倍」とか口を濁すのが通例でした。しかし二〇二二年二月一八日の「二ュースウォッチ」では、JALANAの幹部と一緒に登場したSAFメーカーの幹部が、 「いまは一リットル一万円だが、大量生産で安くなる予定」とご発言。気になって通常ジェッ卜燃料の値段を調べてみたら、一リットルが約一〇〇円とのこと。つまり幹部氏の言うとおりなら当面、同社のSAFは、ジェット燃料の一〇〇倍も高いわけです。 モノの値段が投入エネルギーにおよそ比例するとして、SAFが高いのは、製造に使ったエネルギー(CO2排出量)が多いからでしょう。大量生産の体制を整えても、現在の一〇〇倍が、意味のある「一倍未満」まで落ちるとは思えません。 本項の冒頭に紹介したレジ袋も、植物の栽培・収穫・処理などに大量の化石資源を使い、CO2を出しています(ペットボトルをリサイクルしない理由も同様。一〇二ページ)《ブログ20221128←27あたり》。 産経の経済面ご担当もSAFがお好みらしく、二〇二二年四月一二日に大きな記事を載せました。冒頭の見出し「CO2排出八割削減」が、一瞬「八倍増」に見えましたが。 真の「八割削減」ができるなら、二のエネルギー(化石資源)投入で一〇(バイオ燃料)が得られる。その一部を次回の「投入」分にし、同じ営みを続けていけば 、人類は化石資源の枯渇という悪夢から解放される(なお一リットルの価格は一万円ではなく二〇円のはず)。そんな気配がないからには、「八割削減」の計算があやしいのです。本文に「価格を従来燃料レベルまで抑えるのは困難」と正しく書いた記者氏も、そこを見抜けなかったのでしょうか? なお、同類の大きな記事が五月二一日の紙面にも載りました。 「気候変動・脱炭素」14のウソ』渡辺正著(丸善出版株式会社)