しあわせみんな 三号店

日本人は太古の昔から「しあわせみんな」という素晴らしい知恵をもって生きてきました

●リサイクルするにも資源を使う

●リサイクルするにも資源を使う 何万トンという単位では少しわかりにくいので、ペットボトルの本数で整理してみると次のようになる。 昔は、12本のペットボトルを使って12本を捨てていた。リサイクルが始まったので安心して51本のペットボトルを使うようになり、そのうち24本を分別回収して、27本を捨てた。回収した24本のボトルのうち3本を再利用して、残りは再生工場から焼却したり捨てたりしている。だから、捨てた量は全部で48本になった。 実にバカらしい。 しかし、社会にはいろいろな人が生活している。これだけ事実がハッキリしていても、ペットボトルを分別するのが好きな人もいるだろうし、主義主張を持っている人もいる。だから、 51本のうち、3本でも資源として使えれば良いじゃないかという意見もある。 しかし、そうではない。3本再利用するのにどのくらいの資源を消費し、ごみを出しているのだろうか。 ごみの量もキチンと計算してみよう。 まず第一に「ペットボトルの形をしたごみ」に注目する。平成5年には販売されていたペットボトルのほぼ全部がごみになっていたから、ごみは12万トンで、すべて「ペットボトルの形をしたごみ」であった。それが平成16年にはリサイクルが進み、一般家庭から出るごみは27万トンに増えた。それだけではなく分別回収したペットボトル24万トンのうち、3万トンしか再利用されなかったので、21万トンはペットボトルリサイクル施設からごみとして出された。

だから結局、家庭からの27万トンとリサイクル施設からの 21万トンを合わせると、「ペットボトルの形をしたごみ」は48万トンになった。 ペットボトルの形をしたごみはリサイクルによって4倍に増えた。 それだけではない。 ペットボトルをリサイクルするには、家庭で分別してごみを集め、トラックで運搬し、ペットボトル以外のものを取り除き、蓋を取り、ラベルを外し、洗浄し、「ベール」というまとめた形にして一時的に貯蔵し、それからリサイクル工場に運搬する。 このようにリサイクルするといっても神様がしてくれるわけではない。人間がするのだからトラックの燃料も使うし、処理するにはベルトコンベアーや電気も必要である。分別回収には箱やトラック、そして処理設備もなくてはならない。それもこれもすべて、年を経れば入れ替えなければならない。 あれやこれやで、当たり前のことだが「リサイクルするにも資源を使う」のだ。 そこでペットボトルをリサイクルするのに、毎年どのぐらいの資源を使っているかを計算してみた。 『環境問題はなぜウソがまかり通るのか武田邦彦 洋泉社刊 2007年 20230707