しあわせみんな 三号店

日本人は太古の昔から「しあわせみんな」という素晴らしい知恵をもって生きてきました

「本当に省エネになる製品だけを『省エネ』と言う」運動の必要性

「本当に省エネになる製品だけを『省エネ』と言う」運動の必要性 たかが「省エネ製品」を一つ買うのに、こうして計算をしなければ判らないのですから。本当は、「省エネ」という表示を素直に信じてもよいようにするべきでしょう。そうなれば、ずいぶん気楽です。 しかし、企業が運転費だけを環境負荷と仮定して、「すねかじりの論理」で計算し、「省エネ」と表示するのにはそれなりの理由があります。 商品は「販売量をいかにして増やすか」を目的として作られています。当然といえば当然で、メーカーも販売店も少しでも多く売るために日夜、努力しているのですから、売るために有利な計算や考え方を採用するのは当たり前でもあります。 特に、ここでテレビ のことを詳しく取り上げたので、テレビメーカーや家電の販売店には申し訳ないと思います。お詫びしたり、いいわけをするわけではありませんが、日本の家電メーカーは世界でも環境問題に関心が深く、環境を良くしようと考えて商品開発をしていることは同時に事実です。 しかし、一方では、会社は「売らなければならない」という使命があり、「消費者のために」と言えるのは「会社が生き延びること」が前提となります。また、家電メーカー同士の競争もそれに拍車をかけることになります。日本に家電メーカーが一つしかなく、国民が全部そのメーカーから買うなら、その家電メーカーは「できるだけ買い換えない方が環境に良いですよ」と言うと思いますが、多くの会社が必死に競争しているのですから、そうもいきません。 多分、良心的な会社や、会社の従業員で環境を本当に大切に考えている人は、「一応、省エネテレビという商品を販売するが、どうしてもテレビを買い換えなければならないときだけにしてください。少し電気代がかかっても今のテレビを愛用した方が環境には良いですよ」とこころのなかでは叫んでいると思います。 「たばこの吸いすぎで健康に注意しましょう」ということをたばこ会社が言うまでには、かなりの社会的運動が必要でした。それを考えると、「本当に省エネになる製品だけを『省エネ』と言う」までには、多くの運動が必要なのかもしれません。 『日本社会を不幸にするエコロジー幻想』 武田邦彦著 (青春出版社 平成13(2001)年刊) 20231028     85