しあわせみんな 三号店

日本人は太古の昔から「しあわせみんな」という素晴らしい知恵をもって生きてきました

時間を長くする環境を作るにはどうしたらよいか

時間を長くする環境を作るにはどうしたらよいか このように、歳とともにすることや心配事が増え、自分の思う通りにならない時間も増えるのでなんとかしようと思っているのに、その上、露骨に他人の時間を盗みにくる人たちがいます。例えば、「リサイクルを進めている人たち」もその人たちです。環境を守ることは良いことですが、ゴミを一四種類にも分別させたり、家電製品、生ゴミと何でもリサイクルや分別を強制してきます。その一つ一つがただでも忙しい時間を奪っていきます。 著者がリサイクルをやめて、すべて焼却した方がよい、と勧めている一つの理由は、リサイクルが環境を悪くするということもありますが、リサイクルはやはり「ものの時代」の産物で、あくまでも「もの」を追いかけ、もののために時間を使うことだからです。 でしろ、これからの社会は、ものに追われるのではなく、ゆったりと時間を楽しむ時代にしなければならないでしょう。 歳をとるとなぜ時間が早く過ぎるのか、時間を長くする環境を作るにはどうしたらよいかをまとめてみます。 心配事をできるだけ少なくし、お金があるからといって使わなければならないとも思わず、自分が本当にしたいこと、しなければならないことだけをすることがまず第一です。 ニュートンの死の四年後に生まれ、万有引力定数を初めて測定したキャベンディッシュという人がいます。イギリス人で、ニュートンが発見した万有引力に「興味」を持ち、万有引力というものがあるなら、その定数を測定したいと「思った」のです。そして実験を繰り返し、ついに定数を測定し、それで「満足」したのです。友人が「素晴らしい業績だから、是非、発表した方がよい」とすすめても、いっこうにその気配はありませんでした。キャベンディッシュにとっては「名誉のために実験した」のではなく、「知りたかったから実験した」のです。現代の社会にそのような学者はいませんし、著者も論文の数が気になったり賞をもらいたくなります。 でも、著者も何時の日か、「興味を持ち」「したいと思い」、そして「満足する」ということが純粋にできるこころを持ちたいと思います。 現代風に次のようにも言えるでしょう。 一見、幸福そうな夫婦がいます。和やかでケンカもせず、はたからみても、その本人たちも幸福な夫婦と思っています。 でも、お互いにこころから愛する衝撃を感じていない……それがあれば本当に幸福であろうことは判っているのです。人生の時間にとって、それは大きな差を生みます。 次に、シンプルな生活をして「すること」の数を減らし、さらに、時間の泥棒に注意すると人生はゆっくりと過ぎていくでしょう。 『日本社会を不幸にするエコロジー幻想』 武田邦彦著 (青春出版社 平成13(2001)年刊) 20231124  170