しあわせみんな 三号店

日本人は太古の昔から「しあわせみんな」という素晴らしい知恵をもって生きてきました

●リサイクルをはやく止めなければいけない理由

●リサイクルをはやく止めなければいけない理由 1996年時点で比較すると、ドイツは日本よりはるかに資源利用効率の劣る国だが、それを少し長い目で整理してみた。今から30年ほど前からの先進国の資源消費効率を図表1-9に示す。

このグラフは筆者の研究室の学生が整理したものであるが、整理した学生本人がびっくりしていた。その学生も環境問題についてはかなり詳しく知っていたが、これまで「リサイクルする方が資源の消費効率が良くなる」「日本よりドイツやヨーロッパの国の方が優れている」と思っていた。 ところが、事実は明々白々だ。グラフに1975年からの各国の資源消費量を示したが、日本がまった<リサイクルしていない頃の1980年代の半ばを見ると、ドイツが20、アメリカが45で、日本はダントツに低く8である。図の縦軸は少しややこしいが、簡単に言えば「その国がどのくらい環境にやさしいか」ということを示しており、数字が小さい方が「環境にやさしい」。ここで言う「環境にやさしい」というのは、生産される製品の量に対して消費する資源が少なく、ごみが少ないことを示している。 日本がダントツで資源消費効率がいい。なにもドイツに視察に行かなくていいし、リサイクルをしている国ほど悪いのだから、リサイクルもしない方が良い。 もちろん、当時の日本の政府や専門家はこのぐらいのことはよく知っていた。おそらくはマスコミも情報については専門家だから、日本よりドイツの方が環境に悪い状態になっていることを知っていたに違いない。 世界的にも「リサイクルをしていない日本が一番、環境にやさしい国づくりに成功している」ことがすでに証明されていたのである。 資源消費効率はリサイクルだけで変わるわけではないが、もし社会のシステムとしてのリサイクルが、本当に循環型社会に結びつき、資源消費効率を高めるならば、リサイクルをしていなかった日本が諸外国よりもダントツにいいなどということがあり得るはずがない。 そして、恐ろしいことに日本がリサイクルを始めた1990年から、少しずつ日本と他の国の線が近づいている。リサイクルがいかに日本の力をそぎ落とし、せっかく世界一環境にやさしい国だったのをダメにしていっているかがわかる。 リサイクルはここで示したペットボトルのリサイクルや容器包装リサイクル、また家電リサイクルの他にも、建築のリサイクルや食品のリサイクル、自動車のリサイクルといった多くのリサイクルが法制化されているが、それぞれ大きな欠陥を含んでいるから、できるだけ早くそういったリサイクルを止めることが日本の環境を良くするためには欠かせない。 特に日本は資源が少ないので資源を有効に使わなければならない。「資源を有効に使う」ためには「リサイクルを早く止める」ということである。 『環境問題はなぜウソがまかり通るのか武田邦彦 洋泉社刊 2007年 20230723