しあわせみんな 三号店

日本人は太古の昔から「しあわせみんな」という素晴らしい知恵をもって生きてきました

●ペットボトルのリサイクルより、自動車の量を減らす方が格段に環境にやさしく本質的

●ペットボトルのリサイクルより、自動車の量を減らす方が格段に環境にやさしく本質的 第二番目のトリックは「ペットボトルをリサイクルすると資源の節約になる」「リサイクルで背広ができる」といったことを言って、一切その量(規模)に触れないことである。 石油は、日本へ1年間に2.5億トン輸入され、この2.5億トンのうちのほとんどは燃料として使われる。発電所で燃焼させて電気をつくり、家庭や企業の冷暖房等に使用される。そして自動車で3分の1を使い、産業で15%使い、航空機で2%を使う。 燃料として使われる石油は直ちに二酸化炭素になるから回収はまった<期待できない。 ペットボトルをリサイクルすると資源の節約ができるというが、ペットボトルをリサイクルしようといった時に使っていた石油の量は26万トンだった。日本に輸入される石油全体の 1000分の1がペットボトルに使われていることになる。 たった、1000分の1である。 だから仮にペットボトルのリサイクルが成功して、しかも 100%回収できたとしても石油の消費量が1000分の1減るだけである。「ペットボトルをリサイクルすれば石油の消費を節約できる、資源を有効に利用できる」などと言うのはいい加減にしていただきたい。 月給を20万円貰っている人が「200円節約すると生活が楽になる」と言うようなものである。いくら「塵も積もれば山となる」といっても程度問題だ。ペットボトルのリサイクルを一生懸命やっている人は本当に真面目に「資源が節約できる」と思っているのだろうか。 もちろん、ペットボトルをリサイクルするのが簡単ならついでにやっても良いだろうが、それでももっと抜本的なことを同時にやらなければどうにもならない。 最初からダメなことをしているのである。 自動車は毎年、5200万トンぐらいの物質を使ってつくられる。ガソリンや軽油は9000万トンも使う。合計で1億4200万トン。それに道路を整備したり、信号をつくったりするので、自動車関係で毎年、3億2000万トンぐらいの資源を使う。ペットボトルの1200倍である。 つまり、自動車の量をわずか1000分の1でも減らせば、日本国民はペットボトルのリサイクルを忘れても良い。石油ストーブをつける時間を少し減らしても良いし、電気をちょっと消しても良い。そうすればペットボトルのリサイクルなどたちまち不要になるという規模のものなのだ。 『環境問題はなぜウソがまかり通るのか武田邦彦 洋泉社刊 2007年 20230720