しあわせみんな 三号店

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政府の方針に従うフリをすれば1億円?

政府の方針に従うフリをすれば1億円? 一度お金の力に負けて、胃痩や人工透析などの診療をしてしまった医師は、なかなかそこからは抜け出せません。本来あるべき専門家としての誠実さを失うことになってしまうのです。 こういったことは医師だけの問題ではなく、私の専門とする材料やエネルギー、資源などの分野でも多くあることです。 私の研究はほとんど政府の方針とは違います。意識して“反政府”でやっているわけではありませんが、資源の継続性や原子力の安全性、エネルギーに対する考え方がたまたま政府の方針と違うというだけのことです。 自分の学問的興味によって研究を行うことが「学問の自由」というものです。 ところが、そうすると研究費がもらえません。 かつて私の研究室は割と大きかったため、1年間で5千万円程度の研究費を必要としていました。大学の予算として回ってくるような金額では到底足りません。そこで企業の人たちと付き合ったり酒を呑んだりして頑張って、毎年の研究費を3千万円ぐらい確保していました。 この時の3千万円は、私の名前がテレビ等でそこそこ通っていたこと、それまでに学問的実績があったことから得られたものであり、普通はなかなか取れるものではありません。若い40代の助教授などは絶対に取れません。 ある日のこと、私が研究費集めに苦労しているのを見かねた隣の研究科の教授(その人は官庁の役人から大学の先生になったのですが)から、「武田先生、政府寄りの研究テーマを出してください。そうしたら私が1億円ぐらいの予算はなんとかします」と言われました。 学問というのは難しいものですから、一般の人をごまかすことはいくらでもできるのです。だから政府をダマして予算を出させておいて自分の好きな研究をすることも簡単にできるでしょう。 もちろん私としては欲しくて仕方のないお金です。しかし、学者は一度ウソをついてしまうとウソをつくクセがついてしまいます。そうした想いから、私はその予算をつけてもらう話はお断りしました。

ですが現実には、東大の教授などが研究費のためにウソをついている事例が少なからずあります。 あの人は表向きにはこう言っているけれど、実際にやっている研究は違うというのは、同じ研究者であれば外から見ているだけでもわかることです。そして、大学院の学生などが「うちの研究室はこれをやるといって予算をもらっているのですが、実は違います」というようなことを必ず言うのです。 こうして専門家がウソをつくようになり、そういう人は自己アピールも上手ですからメディアでももてはやされて有名になる………。 テレビの視聴者のなかには専門分野というのがどういうことか、よくわかっていない人も多くいますから、それに簡単にダマされてしまうのです。 『「新型コロナ」「EV脱炭素」「SDGs」の大ウソ』武田邦彦著 ビジネス社刊 20240314  P61