しあわせみんな 三号店

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中身の茶番

中身の茶番 二〇年近くウォッチしてきた身の感想として、COPの中身は二つしかありません。CO2排出削減率や削減時期の「数字遊び」と、途上国と先進国が繰り広げる「ののしり合い」です。COP26について、それぞれのサワリを振り返りましょう。 数字遊び まず十数か国とEUが「二〇三〇年時点の削減目標」を宣言し合いました。おもな国々につき、統一感のカケラもない宣言内容を並べると、次のようになります。 日本    二〇一三年比で四六%減(二〇一八年の排出量は世界の三・二% ) アメリカ 二〇〇五年比で五〇~五二%減(同一四・七%) EU     一九九〇年比で五五%以上の減(同七・四%。EU15か国の値) 韓国    二〇一八年比で四〇%減(同一・八%) 中国     二〇三〇年より前に排出削減を始めるよう努力(同二八・四%) ロシア   一九九〇年比で三〇%減(同四・七% ) どれも空約束にすぎません。諸国に有言実行の美徳が少しでもあり、大気のCO2増加は何割かが人間のせいなら、過去二十余年のうち図ーの曲線も頭打ちの気配くらいは見せたでしょうが、まったく見えませんので。なお、一帯一路政策のもと石炭火力発電所を他国に売り込み中の中国は、「二〇三〇年までCO2をガンガン出す」と宣言したわけです。 COP26ではもうひとつ、多くの国が「二〇五〇年の排出を実質ゼロにする」と約束したことになっています。しかし「実質」がクセモノで、京都議定書時代と似たような数字合わせをするだけでしょう。 実質ゼロ化の年を「二〇五〇年」としなかった国が、五つあります。中国とロシア、インドネシアサウジアラビアが二〇六〇年で、インドはなんと二〇七〇年! 二〇七〇年は四八年後だから、いま二十代の若手さえ現役を退いていますよ。いま世界トップの排出量(全体の三割近く)を誇る中国が、相変わらず途上国に分類されています。だから身勝手な「二〇六〇年」もあっさり許されるのでしょうが、それより何より、国連の目論見(富の再分配)はとっくに破綻しているわけですね。 要するに、COPで飛び交う削減時期も削減率も、ただの数字遊びにすぎません。どの国も、CO2の排出を減らすつもりなどない。化石資源が十分にある今後しばらくは、CO2排出の多い国ほど活気に満ちて、国民も豊かに暮らせるからです。 気候変動・脱炭素」14のウソ』渡辺正著(丸善出版株式会社)