しあわせみんな 三号店

日本人は太古の昔から「しあわせみんな」という素晴らしい知恵をもって生きてきました

IWCは脱退したけれど‥‥

IWCは脱退したけれど‥‥ 2019年6月30日、日本はついにIWCを脱退。持続可能な捕鯨を行ってきた日本の文化を、反捕鯨国に札束で抱き込まれた国々が多数を占めて否定するような組織に、拘泥し続ける必要はない。とかく事なかれ対応が目立つ日本も、やるときはやるものだと、脱退の知らせに快哉を叫んだものだった。31年ぶりとなる商業捕鯨再開に、「また安くて美味しい鯨肉が食べられるようになる」と期待したのは、私だけではなかっただろう。 ところがその後も、市場に出回る鯨肉はいっこうに増えなかった。不思議に思っていたところに、衝撃のニュースが飛び込んできた。政府は脱退に伴う海外からの厳しい視線に配慮して、自ら捕獲枠を制限その結果、捕獲可能頭数の上限を調査捕鯨時の6割に減らしたというのだ。これではIWCを脱退した意味がわからない。「圧力に屈して、自ら手足を縛る日本」は、残念なことに健在だった。 それまでの調査結果から、例えばクロミンククジラは南氷洋に51万頭もいると椎定され、むしろ増えすぎで餌となるオキアミや魚が減るなどの影響が出ている。鯨類研究所によれば、全世界の鯨類が食す海洋資源の量は、漁獲量の3~5倍にあたる。 鯨を過度に保護すれば魚の量が減り、海の生態系のバランスが崩れていくのは明らかだ。 このまま策を講じなければ、古事記の時代から続いてきた日本の鯨食文化が、衰退・絶滅してしまうのではないか。「もはや鯨肉の需要がない」という声も聞かれるが、目の前にないものは手に取りようもないし、あまりに高価であれば手は出せない。かつてのように給食で、鯨肉の竜田揚げや大和煮、鯨カレーなどを出す地域や機会を増やし、身近な食材としての認識を広めることも一案だ。 免疫力を高めるビタミンAや血液をつくる鉄分を多く含み、高タンパク、低カロリー、脂が冷えても固まらない不飽和脂肪酸認知症予防にも効果があるとされるバレニンが豊富と、鯨肉は優れた食材でもある。そうした知識もぜひ広めたいものだ。 海の生態系と日本文化を守るためにも、国には捕鯨枠の再考を強く求めたい。 『Renaisance Vol.13』ダイレクト出版 「消えゆく日本の伝統食」野生肉の復活を 葛城奈海氏より R050602