まず問われるのが、家畜の健康と幸せに配慮した「アニマルウェルフェア」な育て方がされているかどうかだ。広い牧楊でのびのびと育てられているか、それとも鉄パイプとコンクリートに囲まれてぎゅうぎゅうに身動きできずに育てられているかの近いである。 日本では一般流通の食品でアニマルウェルフェアが問題になることはまだない。しかし、ヨーロッパではいち早く工場的な畜産システムが反省され、アニマルウェルフェアが重視されるようになっている。暗く狭い場所に閉じ込め、身動もさせずに育てれば、免疫力が洛ちて病気が発生するのは当然だ。それを防ぐには抗生物質や抗菌剤を投与しておく必要がある。ところがそれによって薬剤耐性菌が多く発生しているのだ。そこで、抗生物質に頼らない畜産システムとしてアニマルウェルフェアが推奨されるようになった。もちろん、そこには動物福祉の観点もある。 加えて、良質な餌を与えているかどうかが重要だ。家畜の餌が農薬まみれの輸入穀物であれば、当然、それは家畜の体に蓄積される。脂溶性の農薬は、脂肪のかたまりである霜降り(脂身)や牛乳、卵に溜まりやすい。同様に、成艮ホルモンや黄体ホルモンも脂の箇所に溜まる。 良質な肉・牛乳・卵は、一般流通で手に入れることはほ ぽ不可能だ。生産者を見つけることが肝要である。一般流通品には、販売時に肉の色を鮮やかにする発色剤が使われていたり、ロングライフ牛乳のようにパッケージに毒素が含まれている場合もある。どのようにして育てられた家畜なのかを知らなければ、安全なものは手に入らないのだ。 『Renaisance Vol.13』ダイレクト出版 「安全な「食品選び」ガイド」 西川榮郎氏より R050628