しあわせみんな 三号店

日本人は太古の昔から「しあわせみんな」という素晴らしい知恵をもって生きてきました

●日本の水田に散布されたダイオキシンの量はベトナム戦争時の8倍にもなる

●日本の水田に散布されたダイオキシンの量はベトナム戦争時の8倍にもなる そこで、日本の水田に散布されたダイオキシンの量は、アメリカ軍がベトナム戦争で散布した枯葉剤の中のダイオキシンと比べてどちらが多いのかという計算をしてみた。その結果、二度びっくりすることになった。 計算によると、日本の全土に散布されたダイオキシンは平成 9年(1997年)で1万平方キロメートルに1年間で0.21キログラム(相当)という量だった。ダイオキシンの量を示す単位は面倒で、普通「TEQ」というが、ダイオキシン自体が多くの化合物の総称なので、毒性で換算した重さをいうことになっている。それが相当キログラムというわけである。 日本全土に1万平方キロメートル当たり1年間で0.21キログラムのダイオキシンが散布されたことはわかったが、ベトナムのように空から爆撃されたのではなく、水田にだけダイオキシンを含む農薬を散布していたので、水田だけを考えれば良い。そこでもう一度、計算すると、日本の水田に散布されたダイオキシンの量は、1万平方キロメートルに1年間で3.7キログラムだった。 一方、ベトナム戦争では除草剤の一種である枯葉剤の中にダイオキシンが入っており、それが米軍によって爆弾と一緒に投下された。その量は、ベトナムの国土の1万平方キロメートルに1年間に0.46キログラムであったという。日本の水田に散布したダイオキシンの量は、あのベトナム戦争の時にアメリカ軍がベトナムに散布したダイオキシンの約8倍だったのである。 環境問題のウソを調べると実に7~8倍ぐらいの値が多い。ペットボトルリサイクルではごみが7倍に増えていた。家電リサイクルでは費用が7倍。ダイオキシン散布量では日本の水田はベトナムの8倍にもなる。 さらに、日本の水田へのダイオキシンの散布量が一番多かった1970年では、1年間で実に27キログラムにも上る。 つまり、お米をつくる日本の水田に、ベトナム戦争の時に枯葉剤で散布されたダイオキシンの約60倍というダイオキシンが散布されたのである。それも一時的ではなく20年間も毎年ダイオキシンを含む除草剤が散布され、それを多少なりとも吸収しただろうお米を日本人は食べていた。 しかし、このことはほとんど報道されなかった。日本でのダイオキシンの観測は1983年に愛媛大学立川涼先生によるものが初だから、この段階で確実なデータがなかったのも確かだが、データが揃ってからもマスコミは報道しなかった。なぜなら、報道すると大変な騒ぎになり、みんなが日本製のお米に不安や不信感を持つことが心配されたからではないか。 ただし、お米というのはお米を販売するのが目的ではなく、一般の人々が生きていくために食べるものである。 だから、もしもダイオキシンが猛毒で、しかもそれがお米をつくる田んぼの中に入っているなら、そしてその量がベトナム戦争時の枯葉剤よりも多い、という事実があれば、まずはその事実を国民に知らせなければならなかったであろう。 そして仮に、ダイオキシンが「史上最強」の猛毒なら日本人は全滅していたかもしれない。 ダイオキシンの被害者としてつくり上げられたと考えられるベトちゃんとドクちゃんが本当にダイオキシンの犠牲者なら、 その60倍もの量を撒いた日本の水田からとれるお米を食べた日本人にはなぜ犠牲者が出なかったのだろうかc 『環境問題はなぜウソがまかり通るのか武田邦彦 洋泉社刊 2007年 20230731  74