しあわせみんな 三号店

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●毒性の強いPCBを強引にダイオキシン類に入れた理由

●毒性の強いPCBを強引にダイオキシン類に入れた理由 ダイオキシンについてもマスコミは訂正報道をしない。しかし、あれほど騒いだのだから非難されると恐れたのかもしれない。そこで、従来ダイオキシンと言っていないもの、すなわち「PCB(ポリ塩化ビフェニル)をダイオキシンに分類すること」にした。

PCBは明確な毒性を持っている。そこでPCBの一部の毒性の高いものをダイオキシン類の中に入れた。 学問的には、ダイオキシンベンゼン環という「亀の甲」のような形のものが二つ並んでおり、その間を二つの酸素が結びついて、二本の橋でつながっている。具体的には、PCDD(ポリ塩化ジベンゾパラジオキシン)やPCDF(ポリ塩化ジベンゾフラン)の総称である。しかし、PCBの場合は亀の甲の間に酸素はなく、亀の甲が一本の橋で繋がっているだけで、亀の甲がダイオキシン同様に平面に並んでいる。 学問的には、PCBとダイオキシンは化合物としての構造が異なる全く別の物質として扱われる。従って、学問的にはPCBをダイオキシンと言うことはできないが、法律上は学問に関係なく、構造的に少しでも似た部分を言及してPCBをダイオキシンの中に入れてしまえば済む。 世界保健機構(WHO)がCo-PCB(コプラナーポリ塩化ビフェニール)をダイオキシン類に分類したのを受けて、日本でも法律上、ダイオキシン類の中に入れている。 その結果、先日あるテレビ番組を見ていたらカネミ油症事件の報道で、ダイオキシンが原因していると報道していた。カネミ油症事件はPCBが原因で起こったとされ、「猛毒PCB」の処理に膨大なお金を使っていたが、それははっきりしないまま、 PCBをダイオキシンと呼ぶことにしたのでカネミ油症事件の被害はダイオキシンの被害ということになってしまった。 今や国民はPCBが危ないのか、ダイオキシンが危険なのか、それとも2つとも「政治的毒物」なのかすらわからなくなってしまった。 リサイクルを進める時には「焼却すると毒物が出るからリサイクルしよう」と言い、リサイクルが上手くいかないと「焼却をサーマル・リサイクル(廃棄物の焼却の際の排熱を回収して、利用する方法)とする」と変える。 ダイオキシンの毒性が低いとわかると責任を取らされるから PCBをダイオキシンに入れて、PCBの事件をダイオキシンの事件にすり替える。しかし、日本人もさすがに昔ほどお人好しではなくなっている。こんなことを続けて国民をいつまで騙し通せるのだろうか。 『環境問題はなぜウソがまかり通るのか武田邦彦 洋泉社刊 2007年 20230816  107