しあわせみんな 三号店

日本人は太古の昔から「しあわせみんな」という素晴らしい知恵をもって生きてきました

● 地球温暖化よりも大切なこと

地球温暖化よりも大切なこと 進化論で有名なチャールズ・ダーウィンは「勇気を持たなければ真実は見えない」と言った。近代科学の思想をつくったフランシス・ベーコンは「人は真実を信じるのではなく、そうなりたいと思うことを信じる」とした。 確かに最近の気候はおかしい。それを何か別の責任に転嫁してしまうことで、自分の活動に制限がかけられたり、被害が及ばないようにしたい。そのためには情報を操作するぐらいはやっても良いだろう、そんな思いが地球温暖化というとても大事な環境問題を混乱させた原因の一つだろうと考える。 地球が寒くなったり暖かくなったりするのは仕方がない。太陽の活動が変わるし、地軸の傾きも変化する。また、海水面は地殻変動や膨脹などでこれまでも大きく変動してきた。生物たちはそんな地球活動のダイナミズムの中で、絶滅や繁栄を繰り返してきたのだ。 だから、今後も人類がこの地上に生きていく限り、氷河期も来れば温暖化もするだろう。しかし、それはたとえ自然の変化であっても現状からの変化は忌避したい現象として映るだろうし、まして人間の活動によって起こる気象変化ならなおさら腹が立とうというものだ。 地球温暖化を防ぐのは、間違っても「(二酸化炭素の)排出権取引」や「水素自動車で売り上げを増やそう」ということではないはずだ。それは純粋に「私たちの活動を減らす」こと以外にはありえない。それを受け入れるのは我々の決意だろう。 地球の気候が急変すれば気象災害も起こるし、南の国ではマラリアも増える。

(高潮の影響で水浸しになった「水の都」イタリアのペネチア。ペネチアは干潟の上につくられた人工の島であり、近年は地盤沈下に加え地球温暖化による影響か、年平均40回も冠水に見舞われている。冠水したサンマルコ広場では、観光客らは高さ50センチの渡し板の上を歩いている。) 水位の低いところやツバルあるいはベネチアバングラディッシュのようにもともと地盤が沈下しがちで水面ギリギリの所は水浸しになる。もちろん、悪いこともあれば良いこともあり、作物の北限はさらに北になるから寒い地方に住んでいる人にとって温暖化は良い影響をもたらす可能性が高い。 地球温暖化の本質は我々の活動があまりに激しく、地球の気温を左右するまでになったということであり、その変化が急激だというところに問題がある。 原因は日本やアメリカを中心とする先進国の人たちの無制限なエネルギーの使用だ。自分たちが思う存分に二酸化炭素を出しておいてツバルが沈没するのを気にしても意味がない。 少しでも得しよう、お金を儲けようとしたりせず、人生にもっと大切なこと一家族、友達、ゆったりした時間―――そんなことを大切にしていれば、地球温暖化は自然消滅する。「二酸化炭素の排出量の目標」などをつくってしかめっ面をしていると、この問題は解決しない。 『環境問題はなぜウソがまかり通るのか武田邦彦 洋泉社刊 2007年 20230906  166