しあわせみんな 三号店

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● 本当の環境問題の一つは石油の枯渇

● 本当の環境問題の一つは石油の枯渇 では、解決しなければならない環境問題とは本当に存在するのだろうか。私が環境は大切だと言っているのは、実は本当の環境問題がもう目の前に来ているからに他ならない。 一つは石油がなくなってしまうことだ。 そして、もう一つは社会が複雑になることによって著しく安全が脅かされるということである。 石油というのは大昔の生物の死骸から生まれ、それもある地質時代(地球誕生から人類の歴史以前の時代)に特定の場所で死亡した生物の遺骸だけに限られる。このことは石油が出てくる場所が特定されていることやその地質に特徴があることから科学的には間違いがないと考えられている。

もう一つはそのような石油のできる要因とは別に、現在までの石油の探査と新しい油田の発見との関係がある。図表5-2を見ると非常に明瞭にそれがわかる。石油は20世紀のはじめから使われており、使われるにしたがって次々と新しい油田が発見され、将来掘ることができると考えられる石油の量は増大の一途を辿った。 しかし、新たな油田は第一次石油ショックのあたりから見つからなくなり、1985年を境にして新しい油田の発見量よりも消費量の方が上回るようになったのである。 これは歴史的事実なので、覆ることはほとんどないと考えられる。結果として、2030年ぐらいには可採年数が尽き、石油が枯渇すると見られている。 石油という化石燃料は現在の文化生活に密接に結びついているため、石油がなくなれば物価が上がり、自動車は走ることができなくなり、飛行機で外国に出ることもできない。プラスチック製品がつくれないし、小さな携帯電話はこの世から消えるというように、非常に大きな変化が予想される。 1972年にアメリカのマサチューセッツ工科大学のメドウス博士は当時発達してきたスーパーコンピューターを使って地球の将来予測を行った。その結果、21世紀の中頃には石油の枯渇によって人類の文化は大きな危機を迎え、その時に世界中で約30億人が餓死するだろうと予測している。 『環境問題はなぜウソがまかり通るのか武田邦彦 洋泉社刊 2007年 20230920  197