しあわせみんな 三号店

日本人は太古の昔から「しあわせみんな」という素晴らしい知恵をもって生きてきました

● 石油がなくなれば農業の生産性も著しく落ち、食糧危機へと発展する

● 石油がなくなれば農業の生産性も著しく落ち、食糧危機へと発展する 本当の環境問題の2番目は食糧問題である。日本の食糧自給率は40%だ。しかし、これは見かけのものであり本当の自給率ではない。 食糧自給率が問題になるのは外国から食料が買えなくなった時で、現在のように自由に食料が買える時には食糧自給率の数字などはあまり問題にはならない。 現在の日本が自由に食料を得ることができるのは、いわば自動車や家電製品を外国に輸出し、そこで得た外貨で食糧を外国から買っているからである。だから、仮に石油がなくなって自動車や家電製品を外国に輸出する力がなくなれば、それと同時に食糧を得ることもできなくなる。 現在、日本の畑で多くの食料が取れるのは、石油をふんだんに使いビニールハウスをつくり、化学肥料を使い、さらに農薬で害虫を退治することができるからだ。またトラクターやその他の機械を駆使して農業の生産性を上げる方法もとられている。石油がなくなるということは、このようなことが全て同時にできなくなることであり、日本の畑の農業生産高はかなり低くなるだろう。 石油がなくなった時の日本の食糧自給率を計算してみると、石油を使って農業の効率を高くすることができなくなるので、食糧自給率は40%から25%程度に減る見込みである。食糧自給率というのは、石油がなくなって日本の工業が衰退する時こそ重要なのだが、日本の食糧自給率はその際に実質25%程度だというのだ。 恐ろしいことである。 人間は食べなければ生きていけない。その食粗自給率が必要な量のうち4分の1であるというのだから、石油がなくなればたちまち日本人は飢え死にする者が続出する可能性もある。

先進国でこんなに酷い国はない。図表5-4を見ればわかるように、アメリカやフランスなどはもともと農業が強いから食糧自給率は非常に高い。 また、畜産が盛んで、農業をあまり得意としていないイギリスでは、食糧自給率は100%ではないが、穀類の自給率は100%を超えている。 食糧自給率でより重要なのは、肉類ではなく穀類である。 そのことを考えてイギリスは穀類の自給率は国策として100%以上を維持している。そうした中で、国際的に食糧自給率が決定的に不足している先進国はどこかと探すならば、それは日本だけと言っても過言ではない。 『環境問題はなぜウソがまかり通るのか武田邦彦 洋泉社刊 2007年 20230924  205