もはや、専門家は肩書だけの存在 NHKも政府の言うとおりのことを放送しないと予算が出ないので、それに沿った放送をしています。これについては元NHKの会長も「政府が右と言えば右、左と言えば左しかないじゃないか」と非常に正直な発言をしたことがありました。 このような例はNHKばかりではありません。現在はすべてにおいてお金というものの締め付けにより、政府が右と言えば右という放送をするし、政府が左と言えば左の学問しかできないことになってしまっているのです。 そのような状況が専門家の意識を非常に低いものにしてしまいましたし、日本の発展にも害になることは間違いありません。 医師会にもお金の縛りがあります。 ここでいうお金とは、厚生労働省が決める薬価や診療報酬のことです。診療のやり方によって開業医の収入は大きく変わりますから、これについても厚生労働省の方針に基づいたことしかやらなくなってしまいました。 もはや、専門家が自分の信念に基づいて学問の立場から物事を言うことがほとんどなくなってしまいました。 そうなってくると、「専門家」というのはどこそこの大学の教授という肩書だけの存在でしかありません。その肩書きを見ていくらか信頼性があるように感じるのかもしれませんが、その話の内容は政治家や官僚の考えに左右される程度のものでしかないのです。
『「新型コロナ」「EV脱炭素」「SDGs」の大ウソ』武田邦彦著 ビジネス社刊 20240311 P53