しあわせみんな 三号店

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「プラスチックストロー」追放運動の愚かさ

プラスチックストロー」追放運動の愚かさ レジ袋有料化の次に、「プラスチックストローを追放しよう」という話が出てきました。プラスチックストローの追放運動はバカらしいというのを通り越して、この運動そのものが詐欺などの犯罪にも近いものだと私は考えます。 石油からつくられる膨大な量のプラスチックは、主として自動車や家電製品などの工業製品、家具、農業用フィルムなどに使われます。身の回りではビールのケース、荷造りのヒモ、カップや包装などもそうです。 またプラスチックの板やフィルムなどのほかに、合成繊維やゴムもそのほとんどが石油からつくられます。さらには洗剤やシャンプー、工業に 使われる化学薬品にも使われていて、これも膨大な量になります。 プラスチック製品は世界で年間3億トン近くもつくられていて、使い終わった製品がそのまま捨てられたならばそれは大変なことになります。たちまち海や畑を覆ってしまうでしょう。 たしかに今から40年ほど前、農業用のフィルムが雑に使われていた時には、「そのうち畑がプラスチックでおおわれてしまうのではないか?」と心配されたことがありました。 そのため「生分解性プラスチック」や「環境にやさしいプラスチック」などの開発も行われたのですが、だんだん「使ったプラスチックはゴミとして処理すればいい、ごくわずかのプラスチックが野原に捨てられても、分解されるので自然には影響がない」ということがわかってきました。 そして、今では使い終わったプラ スチックを道端や畑、海などに捨てる人は激減しましたので、日本においては「環境を汚染するプラスチック」というもの自体が消えつつあるのです。 そのなかでも「プラスチックストロー」の生産量はプラスチック全体の0.003%程度でしかなく、使い終わったらゴミとして捨てられるので、量的にも捨てる方法としても問題はありません。 「プラスチックは人工的につくられているから環境に悪い」と主張する人もいますが、原料の石油は生物の死骸であり、製造方法も人の手でやっているとはいえ、自然界にない方法でつくっているわけではありません。 プラスチックはよく燃えますし、燃えた後に毒物が残ることもありません。さらには自然のものですからしばらくすると微生物などが食べてくれます。 最も多く使われるポリエチレンなどの構造は人間が食べる脂肪に類似していますし、女性のストッキングやシャツなどに使われるボリアミドはたんばく質と同じで、微生物が食べる食材としてはとても貴重なものなのでそのまま自然のなかに残ることはありません。 日本では60年ほど前からプラスチック工業が盛んになり、今では年間1500万トン近くのプラスチック製品が使われていますが、畑や海にプラスチックが大量にたまっているという風景はごく一部を除いて見ることはありません。

ところがこの問題はかなりの利権になるために、東京都や朝日新聞など利権に敏感に反応するところが騒いでいます。 まったくお話にならない論理ですが、「東京( 日本)にはプラスチックが散乱しているところはないが、中国や世界の特定の場所にはプラスチックをそのまま捨てる人がいるので、世界のプラスチックゴミを減らすために、日本で規制を厳しくして使う量を減らさなければならない」などといった話も聞かれます。 これはたとえば「日本では犯罪は少ないが、世界をみると犯罪が多いから日本の規制を強化しよう」というのと同じで、まったくの見当はずれです。 それでいて、やや「科学的なこと」が入っていれば、巧みに言葉を操って人をダマすことができる。これがプラスチックストロー追放運動の問題点なのです。 『「新型コロナ」「EV脱炭素」「SDGs」の大ウソ』武田邦彦著 ビジネス社刊 20240413  P148