しあわせみんな 三号店

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水かけ論

水かけ論 COPはそもそも、「先進国は加害者、途上国は被害者」を大前提にした集会です。途上国は、国連の権威(?)を葵の御紋に使えます。かたや加害者と決めつけられる先進国は、たまったものではない。だから毎年、双方の口論が横行するしかありません。 京都議定書の時代、つまりCOP18が開かれた二〇一二年までは、「途上国に渡したお金の分だけ排出削減したことになる」という、ヘンな理屈がありました。そのおこぼれにあずかりたい途上国は権利を主張し、かたや先進国は「言い値」どおりに払う気などないため、簡単に折り合いがつくはずはありません。 二〇一 一年のCOP17で緑の気候基金(これもヘンな日本語)の設立が本決まりになったあとは、途上国の「早くよこせ」と先進国の「ちょっと待て」の口論が主体です。COP26の 報道でも、先進国に激しく詰め寄る某国の代表がチラリと映りました。 その基金、当初の予定はこうでした(原文はドル単位。一ドル一〇〇円で換算)。 先進諸国は、二〇二二年までに、合わせて一〇兆円を拠出する。二〇二一~二五年も毎年一〇兆円ずつ集め、途上国に配って気候変動対策に使ってもらう。 二〇二二年のいま、予定どおりなら途上国は(どう配分するかで大もめするにせよ)大金をどんどん受けとっているはずでした。現実はどうなのか? そこがポイントなのですね。 二〇二二年時点の拠出総額は、ようやく一兆円(予定年額の一割)をちょっと超えただけ。 しかも、いつごろから途上国に配れそうか見通せてもいない。ちなみに日本は一五〇〇億円を拠出ずみで(国会を通った話だから、文旬を言うつもりはありません)、今後さらに一五〇〇を拠出する予定だそうです(もったいない!)。 ともかく思惑どおりに進みそうもないのは明白だからと、グラスゴーのCOP26で話ぐっと後退し、集金達成年が二〇二五年に先送りされ、目標額も八割引きの二兆円に減りました。 メディアも担当官庁(環境省)も、そういう肝心な点を国民に伝えるべきだと納税者は思うのですが、わかりやすい説明を見たことはありません。 二〇二二年以降のCOPも、途上国支援をめぐる水かけ論や「ののしり合い」をくり広げるだけでしょう。温暖化や気候変動はただの口実でしかなく、富の再分配を目的に 始めた集会ですから(ウソ8)、そうなることは目に見えています。 気候変動・脱炭素」14のウソ』渡辺正著(丸善出版株式会社)