しあわせみんな 三号店

日本人は太古の昔から「しあわせみんな」という素晴らしい知恵をもって生きてきました

ユートピアと現実世界

ユートピアと現実世界 ただし化石資源は、化学合成の原料として不可欠だから、寿命が延びるほどいいに決まっています。脱炭素の意義は―― CO2の緑化作用と食糧増産効果を減らすのはしのびないにせよ――そこにあるといえましょう。なにしろ温暖化(気候変動 )の害などなさそうなので。近ごろ叫ばれる脱炭素がほんとうに化石資源の枯渇を遅らせるならいいのですが当面、「本物の脱炭素」は見当たりません。どれも浅薄なポーズだけ。 イギリスの思想家トマス・モアが一五一六年に自著の中で理想郷のことを、ラテン語ou(ない)やeu(すばらしい)とtopos(場所)からEutopia(ユートピア)と名づけました。仏教の極楽やキリスト教の天国にも通じる、「どこにもない、すばらしい国 」のことです。 脱炭素論者(?)の行いや提案もそれに似ています。一見したところCO2の排出を減らして化石資源の寿命を延ばしそうでも、「森に目が行かない」あるいは意図的に「森のこと考えない」ため、現実には何ひとつ実効がなく、ときにはむしろCO2の排出を増やしてしまうものばかりなのですね。 よく話題になる発電(ウソ12)と輸送手段(ウソ13)の話はあとに回し、肩慣らし用の話題をいくつか本章で紹介しましょう。 気候変動・脱炭素」14のウソ』渡辺正著(丸善出版株式会社)