「塩分は健康に悪い」という固定観念が生まれた背景 「塩分は、高血圧や脳出血の一大要因になる」という固定観念は1960年代に米国のL・K・ダール(Dahl)博士が、日本の南部の塩分摂取量と高血圧の発症頻度を、塩分摂取爵の少ない太平洋のマー シャル諸島の人々やアラスカのイヌイットの人々と比べて発表した論文 が大きく影評している。 1960年頃、1日13~14gの食塩摂取をしていた鹿児島など南日本の人々の高血圧の発症率が約20%、同じく27~28gと2倍もの食塩摂取をしていた秋田、青森などの東北地方の人々の発症率が約40%という結果が出たため、「塩分こそ、高血圧や脳出血の元凶である」という結論になった。よって、この頃から東北地方で減塩連動が始まり、全国に普及していった。 国内の塩分摂取量の推移はというと、1945(昭和20年以降の日本人全体の平均食塩摂取量は「15g/ 日」であったが、1979( 昭和54年には「13.1g/日」になった。しかし当時、厚生省から「10g以内が望ましい」と発表され、その後、1日の平均食塩摂取量は1985(昭和60年)には「12.1g」、2015(平成27年)には「10.0g」にまで減少した。にもかかわらず 、厚生省は減塩を拙し進め、現在は「男7.5g以下、女6.5g以下が望ましい」と発表している。またWHO(世界保健機関)では「5.0g以下」を推奨している。無茶苦茶である。 『ルネサンス第13号』ダイレクト出版 石原結實(ゆうみ)氏