しあわせみんな 三号店

日本人は太古の昔から「しあわせみんな」という素晴らしい知恵をもって生きてきました

みりん―――ホンモノは飲んでも美味しい

みりんとは本来、もち米を粕取り焼酎(日本酒を取ったあとの酒粕で造られた焼酎)と米麹で仕込み、1~3年ほど熟成させたものを指す。こうした昔ながらの本みりんには14度前後のアルコールが含まれ、昔はお屠蘇(とそ)として台所仕事に励む女中さんたちのひそかな楽しみだった。つまり、飲んでも美味しい「お酒」ということだ。 今、出回っている一般的なみりんは「みりん風調味料」である。水飴やプドウ糖、デンプンの糖化液に化学調味料や酸味料などの添加物を混ぜたもの。あるいは雑穀を糖化・アルコール発酵させた調味液にアルコールと塩を添加したものもある。アルコール度数は1%未満で、開封後カビが生えやすい。もちろんとても飲めたものではなく、 粘りつく甘みと、もったりして重い単調な風味が特徴だ。「本みりん」として販売されて いるものも、伝統製法から遠く隔たった商品が多い。蒸したもち米と米麹は使っているものの、アルコールや水飴を添加して2~3カ月で仕上げる。こうしたものは、本来のみりんより3~4倍に増量されている。言うまでもなく、粗悪な原料、ポストハーベスト農薬、遺伝子組換え、食品添加物の問題があり、料理に使っても美味しくならない。 私が選ぶのは、伝統製法で作られた発酵調味料としてのみりんだ。料理にコクとうまみを与えてくれる。代表的なものに三河みりんがある。みりんは砂糖のGI値(食後血糖値の上昇を示す指標。GI値が高いとインスリンの過剰分泌をもたらし、さまざまな問題を引き起こす)の2割ほどしかない優れた甘味調味料だ。砂糖の代わりとしても上手に使いこなしたい。 『Renaisance Vol.13』ダイレクト出版 「安全な「食品選び」ガイド」 西川榮郎氏より R050622