しあわせみんな 三号店

日本人は太古の昔から「しあわせみんな」という素晴らしい知恵をもって生きてきました

●日本はリサイクルの優等生だというウソ

●日本はリサイクルの優等生だというウソ 現代は科学が進歩したために段々と人間が傲慢になった。特に技術信仰が強い日本では、何でも望むとおりにできると錯覚している面がある。「ペットボトルを捨てるなど何とムダなことをするのだ!」「もったいないから回収して再利用すべき」と考えた。 しかし、人間は「自然」に対して命令できるほど偉くはない。木の葉が秋になると枯れて落ちるように、枯葉と同じ「高分子」という材料でできているペットボトルも一度使えば劣化していく。 ところが、容器包装リサイクル法のような自然現象に反する法律をつくってしまった。そしてペットボトルのリサイクルによってお金を貰う人も出てきた。そうなると事態は複雑化する。最初は「環境を守る」という理想に燃えていても、現実にそれが生活になると「環境は徐々にどうでもよくなり、ともかくお金がほしい」となってくる。 そこで法律の範囲内でデータを提示し、国民をトリックにかけるようになっている。図表1-3を見てほしい。ペットボトルリサイクルの「国際比較」を行っている。 このグラフを見て多くの人が瞬される。

どう見ても、アメリカやヨーロッパに比べて日本は断然、ペットボトルの分別回収率が高い。日本の回収率は10%から60%に上昇している。アメリカは最初のうち30%ぐらいだったが今は20%に下がっている。また日本では「ヨーロッパはリサイクル社会」と勘違いしている人が多いが、ヨーロッパは日本と同じように10%ぐらいから始まったが、今でも30%ぐらいに止まっている。 このグラフを示して「日本はリサイクルの優等生」などと言っている人もいるが、まったくの勘違いである。国際比較だから同じ基準で比較していると思うのが当然だが、実は違う。 実際には世界で日本だけが「焼却してもリサイクル」としているから日本のリサイクル率が高く見えるだけなのである。分別回収したペットボトルやプラスチック・トレーは焼却してもリサイクルに分類されると私が説明すると「そんなことがあるのですか!」と驚く人が多い。 実に恥ずかしいことである。 「誠」をもって世界から尊敬を受けていた日本人だったが、すっかりその根拠を失いつつある。リサイクルを始める時には、「焼却するとダイオキシンが出て危険なので、焼却はできない。だからリサイクルをしなければならない」と言っておきながら、実際には「焼却もリサイクル」と言い換える。

この話をするとリサイクルを熱心にやってきた人は、一様に次のように憤慨する。 「そんなのウソでしょう! 私たちは焼却したくないために分別しているのだから。それに焼却するならペットボトルだけを分別する必要もないじゃない!」 筆者に憤慨してもらっても仕方がない。なぜなら、焼却をリサイクルに分類したのはお役所と容器包装リサイクル協会なのだから。 『環境問題はなぜウソがまかり通るのか武田邦彦 洋泉社刊 2007年 20230710