しあわせみんな 三号店

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"自然との共存"の考えをあらためる

"自然との共存"の考えをあらためる 環境を考える上で大切なことの一つ、「共存」ということについて少し整理をしてみます。 地球環境を守る第一歩は「共存」といわれます。それはもう、常識的ですらあり、日本の新聞を読むと「自然との共存」はすでに当然のように語られ、対談記事や環境シンポジウムの特集では繰り返し、「共存」という用語が踊ります。 この「共存」という言葉は、地球上に一緒にすむ生きとし生けるものとの共存であり、"地球そのもの"との共存です。人間が出現すると、すべての生物の生殺与奪の権利が人間に与えられ、人間の道具としてかしずくことではありません。 かつては人間の行為は、共存との間になんの矛盾もありませんでした。それは、豊かな生活を実現すること、幸福を求めることは、自然との共存、他の生命との共存のなかで作られる環境にこそあったからです。 しかし、現在、もし人間が他の生物、そして地球そのものとの共存を望むなら、わたしたちの行動はかなり修正を余儀なくされるでしょう。臓器が傷んだからといって、「人間からだブタ」を大量に飼育し、そのブタから臓器をもらって手術をしたり、肌に皺が目立つようになったから「人間皮膚ブタ」の皮膚をはぎ取って交換し、さらには骨が弱くなったからといって「人間骨ブタ」の骨に取りかえることを意味していません。 サルをアルツハイマーにかけることに成功したと報じられました。ともに霊長類であり、本来、共生すべき生命を、人間のために病気にまですることもないでしょう。 もし、共存というのが人間と他の動物との共存を示すなら、サルをアルツハイマ ーにすることは人間自体の生きる意味を失わせるからです。 「共存」とは、少し長生きするより、サルがそばにいて、一緒に生活をともにすることを選択することです。 最近では、さらに細胞レベルでの移植医療の可能性も研究されています。真の意味での共存を大切にしない限り、科学による自然の破壊は際限ないのです。 『日本社会を不幸にするエコロジー幻想』 武田邦彦著 (青春出版社 平成13(2001)年刊) 202311205  205