しあわせみんな 三号店

日本人は太古の昔から「しあわせみんな」という素晴らしい知恵をもって生きてきました

魚食を支える5本の柱とその育成

魚食を支える5本の柱とその育成 ここまで、魚離れへの対策の核は家庭の魚食復輿にあるという話をしてきたわけだが、しかし実際にはそれだけではおさまらない現実がある。 たとえば、料理講習で学んだ魚料理を家で作るためにスーパーに行ったところ、鮮度の悪い臭い魚しか手に入らないという都会のケース。客の購買価格に合わせると品質はこのレベルになるというのがスーパーの言い分だとすれば、遡って、仕入れ元である市場の問題もあるのではないかということになり、ひいては流通業者や生産者の魚の扱い方にも疑問が及ぶ。また、料理店は、料理を提供する場であると同時に、魚のおいしさや可能性を伝える公性も同時に担っているが、この役割の意識は薄いように思う。 つまり、日本の魚離れを解決するためには、魚食を支える「生産」「流通」「小売」「飲食」「家庭の食卓」の5本の柱に関わる「人」に同時多発的な意識の成長が促されるような手当てが必要となってくる。そして実際に、そのような横断的な人的関係の構築、あるいはそれぞれの立場にいる人々に対して、それぞれが理解できる言語に翻訳して伝えることのできる存在が、どうしても必要となる。 これこそ私が提唱する”魚の伝え人”というもので、この育成を急がねばならない。そのためにも、これまでの歴史の中で経済的には利害関係が対立してきた5本の柱に従事する者たちが、つながり、集まり、合議の上で伝えるための役割分担をし直すということを始めなければならない。魚と人をつなぎなおすことができるのは、両者のことを理解できる、やはり「人」なのだ。 『Renaisance Vol.13』ダイレクト出版 「魚離れの実相」事実の理解とその対策・展望を考える  上田勝彦氏より R050607