しあわせみんな 三号店

日本人は太古の昔から「しあわせみんな」という素晴らしい知恵をもって生きてきました

安全な「食品選び」ガイド 子どもに食べさせたい食品がない

安全な「食品選び」ガイド 子どもに食べさせたい食品がない 私は 、安全基準の高いオーガニック食材 、有機野菜などを 宅配する「 オルター」という会社を営んでいます。この活動を 始めた最初のきっかけは、長男の誕生でした。当時、「子どもに 食べさせられる食べものがない」と絶望感を感じていたのです。 私は大学時代に化学を学び、大学院では生物化学を研究していました。就職した製楽会社や大学の研究室ではがんの免疫療法に収り組み、そのなかで知り得たのがすさまじいまでの食品公害の実態でした。 今から50年近くも前、1970年代は、イタイイタイ病や森水ヒ素ミルク事件、カネミ油症事件など、大規模な食品公害 の傷跡がまだ生々しく残る時代。高度経済成長は農薬や化学 肥料の大量使用をもたらし、人体被害や食品汚染、環境破壊を起こしていました。農家には規格がそろった見目のよい農産物の生産が求められ、その代償と して消費者は、市場に出回る農楽に汚染された野菜を選択するしかない。「とても子どもを無 事に宥てられない」と、心底怖れを感じたのを今でも覚えています。 当時は自然食品店や有機野菜を扱うお店は数が少なく、安全な食卓を実現するためには、自分で行動を起こすしかありませんでした。私は安令性の高い食品を求め、自ら生産者を探すことにしたのです。 ところが、そうやって苦心し て手にした自然食品も成分無調整牛乳も問題だらけ。とても納 得できるものではありませんでした。たとえば、「無添加」を謳っている食品でも、実際には 添加物まみれだったりするのです。キャリーオーバーといって食品衛生法では原料に使用されている添加物は表示しなくてもいいことになっているので、無添加と謳 えるだけです。市販品で完全に無添加のものを見つけるのは相当に難しい。本当の意味で無添加のものは 、巷にはまず売っていません。 さらに、自分たちだけがよいものを食べようというばかりでは、活動の継続が困難なのですね。連賃もバカにならないし、そもそも生産者に対して「もっとこうしてほしい」という要望があったとしても、たった1人の需要で交渉することもできません。1人の力では、よいものを開発するのは難しいのです。 そこで、志を同じくする方々に呼びかけ、仲間を募って活動を続けることにしました。それがオルターの出発点です。 西川榮郎 にしかわ・ひでお/オルター代表 1947年大阪市生まれ。立命館大学大学院理工学研究科修士課程修了後、製薬会社研究員として制癌剤の開発研究に携わる。大阪大学医学部胸部外科で「癌と免疫」を研究。1976年、安全な食べものの共同購入運動「徳島荘らしをよくする会」を創設。またロングライフミルク追放、パスチャライズ牛乳の実現、市民運動サミット「ばななぽうと」主催など、脱原発、薬害告発、農薬空中散布中止など「いのち・自然・くらし」を守る幅広い活動に従事する。現在オルター代表として安全な食材開発の最先端にいる。 著書に「ほんものの牛乳が飲みたいJ「あなたのいのちを守る安全な食べもの百科ーー食は「いのち」偽装などもってのほか」等。 『Renaisance Vol.13』ダイレクト出版 「安全な「食品選び」ガイド」 西川榮郎氏より R050617