しあわせみんな 三号店

日本人は太古の昔から「しあわせみんな」という素晴らしい知恵をもって生きてきました

● 新幹線を使えば飛行機よりも二酸化炭素の発生量が10分の1になる?

● 新幹線を使えば飛行機よりも二酸化炭素の発生量が10分の1になる? マンション建設の偽装問題では、ー級建築士ともあろう人が、データを偽装して地震が来た際に倒壊しかねない強度の不足したマンションを設計して素人(住民)を騒してきたことに批判が集まった。 しかし、地球温暖化で人を騙す手口も実際これと似ている。ー級建築士も自分がお金を貰いたいと思って設計を変えた。 専門家が自分のところに予算が来るから、研究費を貰えるから、売り上げが増えるからといった理由で社会に誤報を流すとしたら、それは一級建築士が行った偽装とどこが違うのか。 こうした誤報は実はまだある。日本を代表する鉄道会社であるJR東海が新幹線で約半年間、奇妙なテロップを流していた。そのテロップは「東京と大阪間を飛行機で行くのに対して、 新幹線を使えば二酸化炭素の発生量は10分の1になる」と言うものである。最初にこのテロップを見た時、筆者はJR東海とは関係ないが思わず赤面した。このような間違ったテロップが世界の技術を代表する日本の新幹線の中で流れ、世界の人々が目にすることに私の羞恥心が反応したのだろう。しかも、それが約半年間も流れていた。 このテロップが誤りである理由を簡単に説明するとこうなる。飛行機というのは空を飛ぶ。巧みな工学の成果を活かし、重力に逆らって空中を飛ぶ。だから、飛んでいる間は膨大な燃料を使う。一方、鉄道はレールが重力を支えてくれるので燃料の使用量は激減し、走行中の燃料消費は10分の1になる。 しかし、飛行機は空を飛ぶので空港があれば東京から大阪に行くことができるが、新幹線は東京駅から新大阪駅までずっとレールの上を走り、途中にトンネルや橋もある。レールや橋は「重力保持機構」であり、鉄道はそれらを最初にまとめてつくつておかなければならない。そこで新幹線は営業する前にレールを敷き、トンネルを掘り、橋を架ける。さらに、営業運転に入っても、安全を保つために点検をし駅員や保線員を配置する。つまり、航空機は空港さえ設置すれば目的地に行けるが、そ の代わり飛ぶ時には燃料を使い、それだけ二酸化炭素を出す。 一方、鉄道はレールを敷かなければならないので、それをつくる時に燃料や材料を多く使って二酸化炭素を出し、実際に走る時には燃料の消費量が少ない。 こんなことは専門家なら誰でも知っている。しかし、素人なら騙すことができる。それが新幹線のテロップだ。専門家ならどんなに新幹線に有利に計算してもせいぜいトータルで1.5倍ぐらいだろう。それを10倍抑制できるとは酷すぎるのではないか。 『環境問題はなぜウソがまかり通るのか武田邦彦 洋泉社刊 2007年 20230831  149