しあわせみんな 三号店

日本人は太古の昔から「しあわせみんな」という素晴らしい知恵をもって生きてきました

鳥類の卵生と哺乳類の胎生の意味

鳥類の卵生と哺乳類の胎生の意味 私たち人間を含む哺乳類の場合、体外に産卵せず、胎児を胎内にとどまらせ続けます。これはつまり、卵生の場合に存在する、卵が孵化するまでの、抱卵や外敵からの防御などの手間やリスクを抑えることができるようになった、ということです。 さらに言い方を変えると、「哺乳類は受精から出産までのリスクをメスに受け持たせることで、胎児を確実に成長させることに成功した」ということです。哺乳類のメスは、子宮や乳房を持つ特別な存在となりました。 胎児はメスの胎内で栄養を受け取りながら成長していきます。このメカニズムにはウイルスの存在が大きく影響していると言われていますが、この胎盤の働きによって哺乳類の子は成長します。 ただし、胎盤内の胎児は、母体からすればあくまでも異物です。免疫系の作用によって人間の体は異物を排除しようとします。妊娠初期に「つわり」という症状が現れることがあるのはそのためです。 体内の異物である胎児を母体が受け入れきれないために起こる症状で、胎児が成長するにつれて母体と胎児の関係が安定し、やがてつわりの症状も落ち着いてきます。そして無事出産した後、メスは、母乳を子に与えて成長を助けます。 卵生の動物には抱卵をはじめとするオスとメスの共同作業が必要であり、その分、卵が無事に孵化する確率が低くなります。卵は親の体外に出てしまっていますから常に親とともにあるわけではなく、他の動物たちの絶好の捕食対象ともなります。 胎盤の中で胎児を育て、出産後は母乳を与えて育てることによってこうしたリスクを低減し、確実に世代を継ごうとしたのが哺乳類という動物なのです。 『かけがえのない国――誇り高き日本文明』 武田邦彦 ((株)MND令和5年発行)より R051228 37