しあわせみんな 三号店

日本人は太古の昔から「しあわせみんな」という素晴らしい知恵をもって生きてきました

「トリック(ごまかし)の日本社会」の誕生

「トリック(ごまかし)の日本社会」の誕生 「アメリカの戦争に巻き込まれないためにも、安保条約を改定してはいけない」と反対したところで、もともとの安保条約はあったわけですから、「安保条約破棄」というのならともかく「改定反対」というのはちょっと変な話です。 私はその頃は高校生でしたから当時の記憶もはっきりとしているのですが、その反対の声の出所だとか、もともとの安全保障条約と改定しようとしている新たな安全保障条約がどういう関係にあるかなど明確にされないままに、裁判管轄権などの問題が後から出てくるなどして、どんどんこれに反対する空気が広がっていきました。 しかし当時、「安保改定反対」と騒いでいたなかで、その改定内容の中身まできちんと読んで理解していた人はいったいどのくらいいたのでしょうか。 メディアなどから発信される一方的な情報だけをみて「安保改定反対」を叫んでいた当時の状況は、新型コロナの恐怖ばかりを伝えられて実態を把握することなく、ただ恐れている現在の状況に通じるものがあります。 現実的に考えれば、当時のソ連がもしも日本に侵攻してきたら、それを食い止める手段を日本は独自に持っていませんでした。少し将来を見通せる人であったら、やがて中国が巨大な国になった暁には、中国としては大東亜戦争において被害を受けたという感情を持っていますから、その復讐をしてくる危険性があるということにも思い至ったでしょう。 その時に自分たちの子や孫を守るため、日米安保条約の改定というものが必要なのかどうなのか―――。

この時点で日本社会は、戦後の「国民が心をひとつにして復興を遂げる」という国の形から変質しました。「ある程度のウソはいい、そしてウソで大きな騒動を起こすことができる」という空気が日本列島全体に広がったのです。 これが現在まで続く、「トリック(ごまかし)の日本社会」というものが出現した最初の出来事であったというように考えられます。 『「新型コロナ」「EV脱炭素」「SDGs」の大ウソ』武田邦彦著 ビジネス社刊 20240227  P19