しあわせみんな 三号店

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フラフラ電気

フラフラ電気 二〇二二年二月一六日には福島県沖で最大震度6強地震が起き、同県にある火力発電所がいくつか停まりました。そのあげく東京電力管内の一都八県で、いっとき二一〇万軒も停電しています。一週間近くあとの二二日になっても東京電力の「電力使用率」が一〇〇%を超え(最高は一四時台の一〇七%)、私自身も含めた都民は停電を心配していました(幸い、ほかの電力会社からの融通もあって大規模な停電は発生せず)。 原因のひとつは、あやしい「再生可能エネルギー」をメディアがもてはやす昨今、稼働歴の長い火力発電所を次々に休止・廃止していることのようです。経産省の予想によると、来たる二〇二三年の冬(一~二月)は、東京電力のほか全国六電力の管内も、非常時といってもよい電力不足に見舞われる恐れが高いとのこと。 暮らしも企業活動も、安定な電気があればこそです。台風が襲った際の停電で高層マンションのエレベータが停まったり、トイレが使えなくなったりするようになりました。 無風の夜は太陽光も風力も出力がゼロだから、安定な発電(火力、水力、原子力)でバックアップするのが欠かせません。 一〇〇メガワットの太陽光発電なら、同じ一〇〇メガワット分の安定電源を必ず後ろに控えさせておく。そういう余計な仕事も「再エネ」の単価を上げる結果 、庶民の負担が増えるという寸法です。 先ほども書いたとおり太陽光なら、春夏の好天の日中だけは「定格」に近い発電をします。 それが「売電」を通じて送電網に入ると使いきれず、需給のバランスが崩れて大規模停電の恐れが生じる。だから二〇二二年四月には四国電力東北電力が、受け入れの一時停止を決めました。はた迷惑な話です。自治体レベルの電力に応じる蓄電設備ができれば問題も解消するけれど、残念ながら、近い将来にそうなるメドはついていません。 太陽光発電風力発電も、国のCO2排出量をほとんど減らしません。そのため、温暖化だの気候変動だのはどうでもよいのですが(本書前編)、化石資源の延命に役立ってくれない。そうなると、そもそも行う意味さえないことになりますね。( 政府の望む?)産業の活性化だけには役立つとしても。 火力発電の燃料を水素やアンモニアに変えよう………と叫ぶ人もいます。発電中にCO2が出ないところだけを見た発想です。水素をメタンの化学変化でつくるなら、天然ガス(メタン)火力発電と同量のCO2が出てしまう。水の電解でつくっても、電源が石炭火力だろうと再エネだろうと、根元で応分のCO2が出るのです。アンモニアも、化学合成の際に 大量のエネルギーを使ってCO2を出すから、ご期待どおりのことは起きません。 要するに、燃料費が安くて安定な石炭火力発電を続ければよいのです。 「気候変動・脱炭素」14のウソ』渡辺正著(丸善出版株式会社)