しあわせみんな 三号店

日本人は太古の昔から「しあわせみんな」という素晴らしい知恵をもって生きてきました

●リサイクルで儲けているのは誰か

●リサイクルで儲けているのは誰か リサイクルでバカらしいのは「家電リサイクル」も同じである。昔はテレビ、冷蔵庫、洗濯機そしてエアコンを捨てる時には「粗大ごみ」として捨てていた。新しいものを買うと「ああ、結構ですよ。古いものは引き取っていきますから」と言って販売店が持って行ってくれた。当然の社会である。国民は気楽だった。 当時、租大ごみで家電製品を捨てるとどのぐらいお金を取られたかというと、1台当たり一番安い自治体でゼロ円、高いところで1900円程度だった。平均は500円位である。もともと自治体というところはそれほど商売が上手ではないし、能率も高くはない。自治体の人がサボっているのではなく税金を使って仕事をするにはいろいろな制約があるから仕方がない。自治体の人はずいぶん頑張ってはいるが、もともと儲からない仕事をさせられているのだから辛い。 それでも平均500円でやっていた。 ところが、特定家庭用機器再商品化法、いわゆる「家電リサイクル法」が平成10年(1998年)に始まり、エアコン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機など平均して1台当たり約3500円も支払って、引き取ってもらうようになった。一体、その差額の3000円はどこに行ったのだろうか。 イヤなのはお金だけではない。販売店がそのままでは引き取ってくれなくなった。面倒になるわ、販売店は困るわ、お金は 7倍になるわと悪いことだらけだが、誰が得をしたのだろうか。なぜリサイクルすると7倍も余計に費用がかかるのだろうか。 ペットボトルのリサイクルではごみが7倍、家電リサイクルでは取られるお金が7倍に増えた。 7倍もする理由は、リサイクルすると言っても使い終わった家電製品から有用な資源などは回収できないからである。もちろんわずかな責金属は回収しているが、ほとんどは捨てる。 そして、家電製品の材料の多くを占めるプラスチックは回収できない。回収したプラスチックは誰も使わないからだが、さらにそれを焼却してリサイクルと言い、リサイクル率の数字だけを高くしているのである。 国民は見かけのリサイクル率の数字を高くするために500円で済むところを3500円も払い、面倒な手続きをする。 家電製品というのは日本国民全貝が使う。冷蔵庫にしろテレビにしろ、持っていない世帯はないと言ってもいい。しかも大抵が6年から10年経つと捨てられる。そしてリサイクル料金を「特定再商品化業者」が取るのだからこんなにおいしい話はない。 このお金の総額は約600億円とも1000億円とも言われている。 先ほどの容器包装リサイクルの1700億円に家電リサイクルの1000億円を加えると2700億円による。容器包装リサイクル協会や特定再商品化業者は我々国民に深く感謝していることだろう。 『環境問題はなぜウソがまかり通るのか武田邦彦 洋泉社刊 2007年 20230714