しあわせみんな 三号店

日本人は太古の昔から「しあわせみんな」という素晴らしい知恵をもって生きてきました

●スーパーの袋だけが目の敵にされるのは間違い

●スーパーの袋だけが目の敵にされるのは間違い 実は、産業廃棄物の不法投棄が後を絶たないのも、「ゴミは分別すれば資源」などとウソを言っているからだ。汚泥とか糞尿を目の前に積まれて「これは資源だから再利用せよ」と言われても、実際に処理する人が困り果てるのは目に見えている。それでは家庭から出るような廃棄物はどうか。 汚泥や糞尿より多少はマシだが、結局は使えない。包装に使っているプラスチックはポリエチレンなどが多い。プラスチックは石油からつくられるが、石油は大昔の生物の死骸である。そして、石油は何にでも使えるわけではなく、そこから自動 車や家電製品などに使う原料を取れば、残りのものにそれほど価値はない。 石油工業ができた頃には石油精製でできる化学物質のうち、かなりの部分を捨てていた。フレアースタックといって工場の煙突からボーボーと燃やしていたのである。それが技術進歩により、満遍なく使えるようになった。 しかし、価値のあるプラスチックですら繰り返し使うことができないのだから、包装に使うような安いプラスチックはさらに価値がない。 スーパーの袋が目の敵にされているが、なぜスーパーで袋を無料でくれるかというと、もともとは余りものの石油を何とか袋にしているからである。 そういうとポリエチレンをつくっている人に悪いが、ポリエチレンを製造している当人たちも「俺たちのつくったものが無料で配られていると思うと悲しい」と言っている。でもそのまま捨てるより、たとえスーパーの袋でも1回使って捨てて貰った方が良い。もし安いプラスチックを包装にでも使わなければ、捨てるだけになるからだ。 さらに悪いのはスーパーの袋の代わりにもっと石油を使う「専用のゴミ袋」を使ったり、リサイクルするために貴重なガソリンを使うようになったりすることだ。環境という名の下に日本人全体が非効率なやり方を正しいリサイクルだと思い込んでいることになる。 つまり、産業廃棄物も家庭から出る廃棄物もごみはごみ、分別しても資源にはならない。諦めて焼却するのがむしろ合理的、効率的な方法なのである。 『環境問題はなぜウソがまかり通るのか武田邦彦 洋泉社刊 2007年 20230719